6次産業化を後押し 幸南食糧、新システム導入−観光関係の工場見学も可能
おくさま印で知られる幸南食糧(本社大阪府松原市、川西孝彦社長)は6月17日、松原市のレトルト米飯製造工場に加工食品の製造拠点「食品開発センター」を新設し、稼働を始めた。食材そのものの美味しさを保持できるシステムを導入し、農産物の6次産業化を後押しする。工場見学を随時受け付けており、産地関係者や観光関係者の受け入れも可能だ。

食品開発センター
食品開発センターに導入された「マイクロ波加熱調理殺菌システム」は、日本に1台しかないもの。マイクロ波による食材加熱調理と殺菌を同時に行い、専用容器に密封することでビタミンやタンパク質などの栄養素を損なわず、野菜のシャキシャキ感など食感も保持することができる。
また、120人を収容できる研修センターや商品の試作や試食ができるキッチンなども備えている。

日本唯一のマイクロ波加熱調理殺菌システムを
導入した食品開発センター
この日行ったプレス内覧会で川西社長は、マイクロ波加熱調理システムについて「農産物の6次産業化のお手伝いを行うために導入しました」と紹介。同社グループの地域活性化研究所を通じて、地域の農産物の新しい流通のカタチを支援していく構想を抱く。
同社では、近年ひんぱんに起こる災害に対応するための防災備蓄食品をはじめ、各地域にある農産物を加工し土産用の特産品としての活用も視野に入れる。新センターによって、さらに社会貢献や地域活性化に努めていく考えだ。
幸南食糧は1971年に創業。全国の米の仕入れと製造販売を手掛けてきた。ただ、日本人の一人当たりの米消費量は1962年に118キログラムだったのが2018年には54キログラムに激減。「日々どのようにすれば消費者に米を食べていただけるか」(川西社長)が課題で、川西社長を筆頭に平均年齢33歳の社員155人が日々考えているという。
食品開発センターは、米を中心とした農産物の加工、流通をさらに深化、発展させるもので、いわば現時点の最良の一手。川西社長は「ただ米を売るだけの会社ではなく、時代に合ったお米の価値、お米の可能性を追求し、ライバルは競合他社ではなく、時代の流れです」とプレス関係者に訴えていた。
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