リアリティが名作を生む
1981―82年にフジテレビで放送された「北の国から」。その後、スペシャルドラマとしてシリーズ化し「2002遺言」まで8編が制作された。北海道の雄大な自然の中で田中邦衛演じる主人公・黒坂五郎と2人の子どもの成長が21年間にわたって描かれた名作だ。今年8月、81年版の全24話が関東ローカルで放送されたの機に、全国の系列局に広がり10月6日時点で17都道府県をカバーする9局が再放送を開始、もしくは決定したという。
当初、都会に住む家族がロッキー山脈に移住し大自然に抗う姿を描いて米国でヒットした映画を模した内容で、北海道を舞台にできないかとフジテレビ側が脚本家の倉本聰氏に依頼。北海道にアメリカのような自然はないと倉本氏が断ると、似せればいい、それっぽく見えればいいとのフジテレビ側が返答に倉本氏は激怒したそうだ。自ら企画書を書き直し、北海道の自然と、そこに生きる人々のリアリティを追求するドラマを作り上げた。
我々の業界も「似せればいい」「それっぽく見えればいい」になりがちだ。高付加価値の名のもとに没個性な施設になっていないか、自社でしか造成できない個性的なツアーなのか。倉本氏が描いたリアリティが40年以上経っても色あせていない“こだわり”に学びたい。
(トラベルニュースat 25年10月10日号)
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