質・量ともに豊富な温泉核に観光振興 わかやま12湯サミットin南紀勝浦温泉(2)
活火山がない紀伊半島の「神の湯」
続いて和歌山大学の後(うしろ)誠介客員教授が「わかやま 温泉の謎を解く」をテーマに講演。「活火山がない紀伊半島に高温の温泉があるのは地質学の謎のひとつになっています」。100年前に振った雨水が元となり、地下深くから上昇してきた熱流体を取り込んで温泉水になっているため、熊野の温泉が枯れることはなく「いってみれば100年の時を経て地下水と熱水が出会って温泉になっている」ことを紹介した。
「活火山がないのに高温の湯が噴き出す『神の湯』が熊野信仰の基にあることは興味深いことです」と述べ、和歌山の風景は巨大な火山活動と、その後に風化してできたことが魅力になっていることを強調した。
和歌山の温泉の「ここが好き」をテーマに開かれたパネルディスカッションは熊野幸代さん(椿温泉・しらさぎ)、川田純子さん(白浜温泉・ホテルシーモア)、尾崎世奈さん(南紀勝浦温泉・ホテル浦島)、小川さださん(龍神温泉・季楽里龍神)がパネリストとして登壇。「温泉だけでなく、人が優しいというのも12湯の魅力」「海、山、川の温泉をアピールしている地域は少ないと思うので、もっと前面に出していきたい」といった発言が出ていた。
続いて尾崎さんが「和歌山の源泉数は500を超え、この数字は近畿・中国・四国にある温泉地の中で1位を誇ります。その和歌山県の中でトップクラスの源泉数を持つ南紀勝浦温泉は本日のサミットを機会に和歌山県の温泉をアピールする要(かなめ)となることを誓います」と南紀勝浦温泉宣言を行い、採択された。
このあと中野BCの山本佳昭部長が「特定の産地ならではの品質や社会評価などが確立している当該産地で生産された酒類や農産品だけが名乗れる」地理的表示(GI)制度の梅酒、日本植物医生の宮脇悦子さんが温泉とスキンケアについて説明した。
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