多文化共生でまちづくり 楽天オプティミズム開催、訪日客誘致の秘訣を丸山白馬村長が語る
楽天グループ最大級の体験イベント「楽天オプティミズム」が8月1―4日に開かれた。2日のビジネスカンファレンスでは「持続的な観光まちづくりに向けて」をテーマに、同社の髙野芳行常務執行役員トラベル&モビリティ事業ヴァイスプレジデントと信州白馬八方温泉の旅館「しろうま荘」の経営者で長野県白馬村の丸山俊郎村長が、地方へのインバウンド誘客に向けた戦略や観光資源の活用について議論した。
対談では、髙野常務が「日本は製造業が大きな割合を占めるが、世界の伸びを見ても観光が経済発展におけるキーの産業になってくる。観光産業の発展には、インバウンドと地方の観光の成長を同時に進めていかなければならない」と指摘した。
丸山村長は、国内のスキー客の取り合うのではなく、グローバルな集客を目指してホスピタリティやエンターテインメント性といったソフト面に力を入れたことが、しろうま荘の欧米など海外からの誘客につながった。「白馬村は民宿発祥の地と言われ、登山客の受け入れや、農家が冬にスキー客を受け入れて発展してきた歴史がある。農家民宿は海外の評価が高く、建物や食材などの背景にあるストーリーなどを英語で伝えてきた。結果、海外からだけでなく常連である日本人からも評価が高くなった」とした。
白馬村の観光の位置付けについて、丸山村長は「白馬村は観光立村であり、住民の約7割が観光業関係者だ。観光が住民にとって密接なもの」とし、村長に立候補した理由について「観光事業者であった時から地域全体のことを考えなければならないという観点を持っていた。就任前にも行政や地域と一緒に取り組みをしてきたが、自分が培った能力を地域に還元できて貢献できるポジションだと感じた」と説明した。
また、グリーンシーズンの需要創出について、ゲレンデを生かしたトレイルランといったイベントなどを行い、通年での集客が人手の安定した雇用にもつながった。「住環境を伝える動画など情報発信も大事だ」と丸山村長。
白馬村では、村民と外国人住民が安心して暮らせるように多文化共生社会の推進に関する条例を制定している。
丸山村長は「どういった方が迎えてくれるかは、旅行者にとって非常に重要。暮らす人は地域そのものである」と話した。
楽天オプティミズムは、より明るい未来に向けて多くの発見のきっかけとなる場を提供するイベント。19年からスタートし、今年で5回目。23年には10万人を超える来場者を記録している。
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