楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

追悼 松坂健さんを偲ぶ

本紙25日号で、2001年4月の「健さんのシネマ大好き」から、21年8月の「健さんの観客力一本勝負」まで欠かさずコラムを執筆いただいた松坂健(まつざか・けん)さんが10月8日に亡くなった。72歳だった。旅館や飲食業界をはじめ幅広い人脈で、人望の厚かった松坂さんの急逝を惜しむ声が相次いだ。

松坂さんは慶応大学卒業後、柴田書店に入社し「月刊ホテル旅館」の編集長などを務める傍ら、ミステリ評論家としても活躍。独立後は、長崎国際大学や西武文理大学、跡見学園女子大学で教授を務め、宿泊業やホスピタリティ論など観光学について教鞭をとった。松坂さんと親しかった本紙コラムニスト3氏に追悼文を寄せていただいた。

松坂健さん

全国夕陽サミットであいさつする松坂さん
(2016年)

突然の訃報、まさか。初めて会ったのは松坂さんが柴田書店の「月刊ホテル旅館」編集長になった時だから、30年以上のお付き合い。最も印象に残っているのは、98年から3年間、通算18軒の旅館に1室5人ずつ泊まり、常に午前2時ごろまで7、8人集まって話が絶えなかったJTBトラベランドの旅館塾。現在も私の後を継いで雑誌「観光施設」に連載してくれていた10歳も若い松坂さんなのに。ありがとう。天国で寛ぎ、楽しんでください。(元リーコ代表の佐藤陸雄さん)

松坂さん!寂しいですね。本当に。ホテルの取材の方法を教えてくれたのは健さんでした。いろんなことを知っていて、いろんな方と接しても、いつも優しく、とにかくフレンドリー。ファンが多いのも頷けます。今でも覚えているのは毎年年賀状を800枚書くということ。それだけ「人」との繋がりを大切にされていた。たぶん年賀状の何十倍も人に愛されていたと思います。801人目のファンとして会える日を楽しみしています。合掌(ホテルジャーナリスト・井村日登美さん)

松坂先生、これまでたいへんお世話になりました。映画のこと、大学のこと、そして旅館のこと。様々な話題で何度もおいしい酒を飲みましたね。次は旅館泊まり込みでといただいたメッセージが最後になってしまいました。20年以上前、泊食分離の話題で何度も議論し、ご講演もいただいたりしましたが、やっと時代が先生に追いついてきた感じがします。残された課題は娑婆に残された私たちが引き継ぎます。どうぞ、しばしゆっくりとお休みください。いずれ酒持ってうかがいます。ありがとうございました。(高崎経済大学教授・井門隆夫さん)

映画だけでなく書物に関して尋ねると、どんなジャンルでも打てば響くように教えてもらいました。一度だけご自宅のマンションに伺った時に、書庫があり本があふれかっていたことにびっくりしました。松坂さんからご教示いただいたことは数えきれませんが、今でも実践していることはシンポジウムでコーディネーターをする際、パネリストと事細かに打ち合わせをしないということ。本番での臨場感を大切にするのが松坂流でした。20年もの間、本紙にご寄稿いただいたことに感謝し尽くせられません。未だ実感できず、早口で独特な松坂節で「元気にしてる?」って現れてくれるような気がしてならないのです。(編集部)

この記事をシェアする
購読申し込み
今読まれているニュース
地旅
今すぐにでも出たくなる旅 最新
個性全開、輝き増す山陰紀行・島根鳥取西部編

島根県では美肌県を前面に、2023年に高視聴率を記録したテレビドラマ「VIVANT」のロケ...

個性全開、輝き増す山陰紀行・鳥取東部三朝編

「蟹取県」「星取県」に続き、辰年の今年は「とっとリュウ県」―。県の形が龍に見える?ことから...

「光る君へ」稀代の女流作家の足跡求め・滋賀大津

後世に深く濃く語り継がれる名作を描いた女流作家は、混沌とする世の中を、愛を持って駆け抜けた...

トラベルニュース社の出版物
トラベルニュースat

観光・旅行業界の今に迫る面白くてときどき役に立つ専門紙。月2回発行

大阪案内所要覧

旅行業務必携。大阪にある全国の出先案内所収録。19年版発売中!

旅行業者さく引

セールス必携。近畿エリア全登録旅行業者を掲載。22年版発売中!

夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ