先を見据えた対策を
緊急事態宣言、まん延防止等対策措置が発令されている地域の観光地を回った。本来、飲酒文化が盛んなまちは、商店街のシャッターはほとんどが閉まり、普段の姿とはまったく別世界の夜になっていた。
夕食を食べる店もなく、結局コンビニで食べ物を買ってホテルの客室で黙食。大阪や東京など都心部ではチェーン店が開いていることもあるが、地方の緊急事態宣言、まん延防止等措置が発令されているまちの状況の深刻さと寂しさは、尋常ではないというのを改めて思い知った。
このまちでは、すでに廃業や倒産した宿泊施設が出ているという。話を聞いたある旅館経営者は「新型コロナウイルス感染症がそこそこ収まり、ほぼ従来通り営業を再開できることになっても、今のままだとコロナ禍に伴い新たに借り入れた金の返済が重くのしかかってきて、営業できなくなる施設が増加するのは目に見えている」と指摘する。
確かにいま現在を乗り切る融資はありがたい。だが、これまでにも抱えていた借金と二重の返済となると持ち堪えることができない施設が続出するというわけだ。
深刻な声色で都市部の新規感染者数を伝えるテレビニュースをコンビニ弁当片手に一人客室で見ながら、新しく選ばれる首相と国に先々を見据えた対策を望んだ。
(トラベルニュースat 21年9月10日号)
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