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持続可能なチームになる! 2019年観光番付(3) ライバルは時代、観光主導で明るい20年に

国策、環境変化に踊るか、踊らされるか

消費税が10月1日から10%に増税された。前回8%への増税後、景気が低迷した反省から飲食品などへの軽減税率とキャッシュレス決済のポイント還元制度が設けられた。本紙では、観光業界の軽減税率について、旅館ホテルの客室冷蔵庫の飲料やルームサービス、列車の食堂車やワゴンでの車内販売、飲食料品のお土産付きバスツアーが軽減税率の対象になるかなどを紹介した。

消費増税の陰で、世間的には注目が低かったかもしれないが、今年の観光業界は新税創設からのスタートだった。国税としては27年ぶりの新税だというのに、国際観光旅客税はスムーズに導入された。観光基盤の拡充・強化を図るための恒久的な財源を確保するのが目的で、日本から出国1回につき1千円が徴収される。航空機のチケット代などに上乗せさせるので抵抗感も少ないようだが初年度の税収は、およそ500億円に上る。何に使われたのか、しっかり見ていく必要はある。

中小旅行業界では今年、全旅クーポンの入会金が無料になったことが話題に。中小旅行業者が協働するスケールメリットを前面に、生き馬の目を抜くような同業他社ではなく、著しく変革する時代をライバルとして旅行業の未来を照射するきっかけと捉えることもできるのではと思う。全旅は「Trip全旅」も立ち上げ、OTAを敵視するのではなく利用する方向に舵を切ったこともトピックとして取り上げておきたい。キャッシュレス社会も見据えた全旅ペイメントもしかりだ。

協業化では、近畿の3旅行業協同組合が連携し活動するHOK連絡会も好例。共同企画の旅行プランは、初年度500人の集客に過ぎなかったが18年度は1万4千人を超えた。今年もさらに、その数字を超える勢いを維持している。

旅館ホテル業界の話題では、外国人労働者の特定技能の業種に宿泊業が選ばれたこと。送り出す側も、受け入れる側もまだ模索が続く。もう一つは、民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行が1年が経過したこと。民泊の届け出状況は、新法施行直後の18年6月15日の受理件数は全国で2210軒、それが最新の19年11月14 日時点では1万9783軒と増えた。

右肩上がりだったインバウンドに日韓関係の悪化が大きな影響を与えた。18年は中国に次いで年間750万人だった韓国の訪日客が激減。9―10月は6割減で、政府が掲げる20年4千万人達成も赤信号が点った。ただ、日本人の訪韓客の減少は小幅。民間主導で回復の兆しを示したい。

今年も自然災害に見舞われた。台風15号と19号が千葉県や東日本に大きな被害をもたらした。本紙では被災地の復旧情報を積極的に報じるように努めた。政府は約29億円の支出を決め、このうち24億5千万円をふっこう割に充てる。東日本の14都県で1人1泊につき、宿泊費5千円を補助する。12月上旬から実施されている。

手前みそだが、本紙3月10日号に掲載した若女将座談会は、子育てや地域おこしなどに取り組みながら旅館経営にまい進する彼女たちの肉声は取材する側も我々も刺激を得た。

20年は、19年の流行語「ONE TEAM」「しぶこ」に学び笑顔で語れるよい年にしたい。

(トラベルニュースat 19年12月10日号)

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