地域を深耕できる存在に
昨年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦屋栄華の夢噺」は、江戸時代中期に活躍したメディア王・蔦重こと蔦屋重三郎の生涯を描いた物語。まもなく寿命が尽きようとしていた蔦重が興した本屋「耕書堂」への思いを語るシーンが最終回であった。耕書堂の耕書とは「書(ふみ)を耕す」という意味。蔦重も農家が田畑を耕して作物を育てるように「本を出版、普及させることで、人々の心や文化を豊かに耕せたかねぇ」とつぶやき永眠する。
同じ出版に関わる弊紙は、観光業界に関わる人たちの心や地域を豊かに耕せる情報を発信できているのかと考えさせられた。昨年創刊55周年を迎え、60周年に向けての第一歩となる今年、「耕書」の意味にあやかった紙面づくりを心掛けたい。
温泉観光地に目を向けると、高付加価値化で各旅館ホテルが利益を出しているのは経営努力として間違いない。ただ、地域の商店や仕入業者などを見据えるとどうか。宿泊来訪者が地域経済の循環に寄与するよう講じているのだろうか。旅館栄えて地域が衰退、衰退した地域の旅館もやがて衰退という負の連鎖に陥りかねないだろうか。温泉観光地の人たちや業界に関わる人たちと一緒に地域を“深耕”し関わった人たちを笑顔にする、弊紙も含め観光人こそ蔦重のような存在であるべきと思う。
(トラベルニュースat 26年1月1日号)
- “便乗員“より添乗員(25/12/12)
- 地元商店と一緒に誘客(25/11/27)
- 車窓越しの交流で集客(25/11/13)
- 町の本屋さんから学ぶ(25/10/28)
- リアリティが名作を生む(25/10/14)
- 万博会場で示した決意(25/09/26)
- 動いてナンボが観光人(25/09/12)












