「豊臣兄弟!」の解釈
今号の別冊は「豊臣兄弟特集」。現在放送中のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」にちなみ、秀吉と秀長兄弟ゆかりの地を紙面で紹介した。
手間味噌で恐縮だが、このドラマは編集部で受けがいい。「信長の草履を懐で温めていた伝説が、まさか兄弟で草履を盗もうとしていたことだったとは!」「墨俣一夜城は、一夜でつくられたのではなく、一夜で焼けたことだったとは!」と、多くの人が知る逸話に新たな視点を盛り込む脚本や演出に毎週月曜日は盛り上がってしまう。ドラマや映画で幾度となく描かれる戦国期でも、演出や見せ方によって陳腐化させない作り手の仕事ぶりに感服する。
翻って、現在の観光の世界。その土地固有の自然、歴史、文化、特産品、人材などを宝として再発見し、それらを磨いて地域の活性化や経済的価値を高める取り組みにつなげる―そう言われて久しい。正しいことだし、見つけて、磨くことはどこも一生懸命にやっている。
しかし、見つけて磨いた宝を伝えることがなおざりになっていないだろうか。SNSや情報誌といった伝える手段のことではなく、宝の魅力を伝える視点や演出という意味で。秀吉の美談を草履の泥棒未遂という解釈に変えた途端に登場人物が生き生きと動き始め、物語が俄然光を放ち出したと思えるのだ。
(トラベルニュースat 26年3月10日号)
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