春日大社の万灯籠
奈良県・春日大社の元権宮司の岡本彰夫さんの著書「日本人よ、かくあれ」の中で、春日大社の約3000基ある「万灯籠」がどのような趣旨で奉納されていたのか、調査した内容が紹介されていた。
「商売繁盛」と刻んだ灯籠は昭和50年代以降にしかなく、それ以前は「諸国客衆繁盛」と刻まれているものばかりだそうだ。岡本さんは昭和50年代以前に奉納された灯籠が「己が儲けを祈るのではなく、お取り引き様がお栄えなさいますようにという、願いを込めた灯籠」だと指摘。さらに「猿沢の池畔の旅籠の灯籠には『諸国客衆中』とあった。お泊まり下さったお客様から頂戴した宿泊費を、少しずつ手元に置いて、その金子で一期一会の客衆の幸せを祈ったのである。昔の人は、こんなゆかしい心ばえで、商いをしてきたのである。むしろ己が利益のみを願うことなど『恥』としたのであろう」。
翻って己を鑑みる。商売の願いを神様に祈るのは自分の「商売繁盛」しか念頭になく「己が栄えるため」に灯籠を奉納するものだと思い込んでいた。他人の幸せを祈る灯籠だったとは思いも寄らなかった。
2月11日に奈良市で開かれる国内観光活性化フォーラムで岡本さんが基調講演を行う。商いを営む私たちが大切にしたい「諸国客衆中」の思想を肉声で聞けるチャンスだ。
(トラベルニュースat 26年1月25日号)
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