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コロナ一色も…全集中で倍返しだ 紙面から選ぶ2020年観光番付(3) ニューノーマル下の新形態

ライフスタイルにいかに旅を組み込むか 旅行業界は転換期へ

 Go Toは事務局の選定でつまずき、キャンペーン開始が7月22日と決まった数日前から感染が再び急拡大していた。開始直前の観光庁長官会見は一般紙から批判的な質問が相次いでいた。ただ、緊急事態解除後、県境の移動が自由になってから飛行機や新幹線、長距離バスや宿泊施設でクラスターが発生することなく、観光業界は感染防止によく取り組んできていた。

 感染防止と旅行を両立させるニューノーマルな旅行は確かに浸透していった。新しい旅行の形として注目されたのがマイクロツーリズム。県境移動が制限され、不要不急の外出がしづらい同調圧力のなか強いられた面も強かったが。

 真新しいものではなく、従来で言う着地型観光だね。なんでもカタカナにすればいいってものではないが、ワーケーションも旅行スタイルとして定着しそう。10月に沖縄県で開かれた「ツーリズムEXPOジャパン」ではウィズコロナ、アフターコロナの旅行はアドベンチャーツーリズムとワーケーションだと言い切る大手旅行会社幹部もいた。

 ある温泉旅館ではIT企業による大口のワーケーションを受注したという話も聞いた。

 沖縄でのワーケーションに外資系で働く首都圏の在日外国人からすぐに100人の申し込みがあったとか。滞在中のオプションとして進めた離島への日帰りツアーにも30人が参加した。

 二階さんらが呼びかけてワーケーション推進議員連盟も設立されたし、パソナが本社を淡路島へ移転するとか、三密とは無縁の職場への分散化が進むかもね。

 働き方ではテレワークが浸透した。雇用調整助成金もあり、在宅を強いられた結果もあっただろうけど。ズームの会議などが日常になり、オンライントラベルも話題になったね。オンライン飲み会はいまだにしっくりこないが…。

 一方で、派遣切りも問題だ。大手旅行会社は派遣社員がいなくなり、苦手な事務作業を深夜まで強いられていると営業マンが嘆いていた。

 個人的には大手旅行会社などのリストラが一番衝撃的だった。ほかの事象は社会的な事象だが、こればっかりは業界の構造そのものを変える一大事。対面で旅行商品を売ることが希少になるという大転換を余儀なくされた、と宣言している。総合旅行会社という形態が一気にダウンサイジング。ベンチャー的な中小企業から観光をキーワードにした新しいビジネススタイルが生まれるだろうね。

(トラベルニュースat 20年12月10日号)

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