ユネスコ無形文化遺産に 日本温泉協会、「温泉文化」で登録目指す(2) 「ONSENカルチャー・イン・ジャパン」
温泉のプロが意見を交換
熊倉さんがコーディネーターを務めた温泉文化シンポジウムでは、古林裕久さん(岡山県湯原温泉・プチホテルゆばらリゾート)が「本日集まっている温泉のプロフェッショナルの皆さんとユネスコ無形文化遺産登録に向けての課題を共有することが大事」。鈴木治彦さん(岡山県奥津温泉・奥津荘)は「ユネスコ登録に向けては、我々日本人が温泉文化にもっと親しむことが必要です。登録後に盛りあがるだけでなく10年後までのデザインを描くことに知恵を絞るべき」などと話した。
また、金井啓修さん(兵庫県有馬温泉・陶泉御所坊)は「温泉文化といえば湯に入ることに焦点を当てがちですが、もてなしも大事な視点です。有馬温泉に天皇や高僧が来るとなれば、能を演じてもてなし、上方落語や歌舞伎とも縁が深い。そういった芸能文化でのもてなしも温泉文化に入れるという発想も必要ではないでしょうか」。佐藤和志さん(秋田県乳頭温泉郷・鶴の湯温泉)は「温泉はレジャーではなく、身体に効くという部分もあります。乳頭温泉郷では混浴の文化があります。環境省では湯治や混浴を守り伝えるプロジェクトに取り組んでいます。誰もが混浴を自然な形で楽しめる文化を守るため、マナーの普及に取り組むことは大事です」。
4人の発言を受けて熊倉さんは「サウナ文化をユネスコ無形文化遺産に登録した時、フィンランド人は自分たちのあらゆる生活がサウナとつながっていて新しい文化を育んだから登録したと言っています。我々も同様の考えで遺産登録を目指したい。フィンランドでは登録名を『サウナカルチャー・イン・フィンランド』としていますが、日本は『ONSENカルチャー・イン・ジャパン』でいきましょう」と応じた。
(トラベルニュースat 2023年7月25日号)
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