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天災と危機管理 クラツー関西国内旅行Cの対応から(1) 台風21号・「安全第一」ツアー中止対応に奔走

今月、台風21号が関西で猛威をふるい、北海道では最大震度7の北海道胆振東部地震が発生した。いずれも旅行目的地であり発地でもある国内観光の要衝となる地域。かき入れ時の秋の観光シーズンを前に、業界に大きなダメージを与えた。地震、豪雨、台風と自然災害が相次ぐ今年、リスクマネジメントの重要性を改めて突きつけられた格好だ。クラブツーリズムテーマ旅行本部関西国内旅行センターの池谷中支店長に台風21号、北海道胆振東部地震での対応について聞いた。

ガイドラインに沿って迅速に対応

池谷さんが支店長を務める関西国内旅行センターは、航空機や鉄道などを使った添乗員同行のエスコート型の商品を主流にしている。関西発を起点にして全方面をチーム制で担当し、約70人のスタッフを抱える。

9月4日に徳島県に上陸し、関西国際空港が浸水するなど近畿地方を中心に大きな被害をもたらした台風21号。接近中の段階から同センターの対応は始まっていた。

クラブツーリズムは「荒天等気象状況によるツアー対応ガイドライン」を作成、共有している。台風や大雨、大雪などでの対応を定めたもので「利益第一ではなく安全第一。お客様の安全と不安の除去、説明責任を最優先」などを指針として掲げる。現場で素早い対応をするためのもので、同社ではツアーの催行、中止を支店長が決めることになっている。

9月2日、池谷さんはガイドラインに基づいて判断を迫られた。台風21号は日本へ上陸することが確実な情勢だ。交通機関の運行状況はもちろんだが、この時点で重視するのはツアータイトル。ツアーでうたう主要な観光地が行けるのか、営業できるのかなどを考慮する。

「ガイドラインには大きく『解除権付与』と『中止』があります。解除権とは、お客様にツアー参加の可否を打診します。キャンセル料は発生しません。中止は、ツアー中止です」。池谷さんは、方面によって解除権付与も考えたが、気象庁の予報やJRの運行予定などを鑑み、3日午前中の段階で4日の全ツアー中止を決めた。

その後、ツアー申込客1人ひとりに直接連絡する。当該ツアーの添乗員と全スタッフが手分けをして電話をかける。「ツアー中止ならばいいのですが、解除権付与の場合だと『どうしても行きたい』と仰るお客様もいます。出発確定を出しているので、最少催行人数にまったく届かなくてもツアーを出さざるを得ません。過去にはそんなこともありました」。

今回は、ツアー中止を伝えられない客もいた。「携帯電話を持っていない、遠方からのご参加で前泊されているお客様などです。その場合はツアー当日、集合出発地にスタッフが出向き直接ご説明しました」。

(トラベルニュースat 18年9月25日号)

(次の記事)天災と危機管理 クラツー関西国内旅行Cの対応から(2) 台風21号・延泊、事後処理…判断に悩む

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