“サブスク”で旅行活性化 NX resort・田中次紀社長に聞く(1) 宿の空室と会員をマッチング
音楽や動画の定額制配信サービスの定着で、ビジネスモデルとして広く認識されるようになったサブスクリプション方式(サブスク)。旅行との親和性も高いと言われており、従来から積立式旅行券などのサービスが展開されてきた。アフターコロナ期を迎え、サブスク制の会員を組織し、旅館ホテルが抱える空室をマッチングさせるサービスを株式会社NX resort(本社・東京都港区、田中次紀社長)が今秋から本格的に取り組む。クローズマーケットの会員に特化し先行のOTAとは一線を画す試みを田中社長に聞いた。
若年層も開拓したい
田中社長が描くビジネススキームは「旅行のアウトレットモール」。旅行費用を毎月先払いで独自のポイントに換算し、そのポイントを使って旅館ホテルの空室を会員に割安で提供するというもの。
「年間稼働率100%という宿泊施設は存在しません。旅館業の過去最高の年間稼働率でも46・8%にとどまります。私たちは、その有効利用を会員制で行おうと考えました。つまり、空室のままでは0円でスルーされる客室をマネタイズ化するわけです」。田中社長が描くのは、いい宿を安くお得に利用したい会員と、在庫を売りたい宿泊施設をマッチングするサービスだと言える。
その上で「将来的な話ですが、旅館ホテルは客室稼働の平準化ができ、安定した雇用が生まれ、賃金アップにもつながるのではないでしょうか。会員の皆さんは毎月定額を支払うことで旅行に出かける動機が増え、しかもいいお宿にお安く泊まりいただけます。弊社のスローガン『旅はみんなを笑顔にする』を実現できると考えています」。
本格スタートを前に、すでに会員数は7千人を数える。ただ、現状は会員の平均年齢が57歳と比較的高いことから、今後はSNSなどを駆使したインフルエンサーマーケティングで若年層も開拓したいと考えている。「次代を担う若い人たちに、どんどん旅行へ行ってもらうのも我々のミッションです」。
(トラベルニュースat 2023年7月25日号暑中号)
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