KOUGEIツーリズム 北前船交流拡大機構と地域連携研究所、北陸復興支援策として提言(3) 北陸復興支援企画会・要旨
北前船交流拡大機構と地域連携研究所の北陸復興支援企画会でKOUGEIツーリズムに関する会員からの発言要旨を紹介したい。
伝統工芸による誘客促進策を考える
「ミラノフォーリサローネ」の概要については、日本旅行事業共創推進本部の安島聖チーフマネージャーが発表。曲げわっぱのプロダクトデザイナーである喜多俊之氏の監修のもと、メーン会場であるミラノ大学で展示公開したほか、備前焼・曲げわっぱの作家と現地学生との交流会などが行われた。会場には、備前市の𠮷村武司市長や大館市の福原淳嗣市長らが駆け付けたという。
読売新聞の津秦幸江社長室文化芸術企画部長は、2018年から文化庁や宮内庁とともに同社が展開する「紡ぐプロジェクト」について、国宝や重要文化財を守るため日本の美を世界に発信していると紹介。昨年からは後継者不足の深刻化など伝統芸能や伝統工芸の現状や課題を新聞紙面で紹介するほか、地域とともに課題解決に向けた取り組みも始めている。「国内市場を頑張ることも大事だが、海外には工芸を楽しむ生活環境がある。海外に販路を切り開くことで可能性は大きく広がり、ブランドを浸透させることは職人を守ることにつながる」と述べた。
ANA総合研究所の森健明副社長は「30代、40代といった日本の若い作家が多く参加した。日常使いしてもらえると販売につながる。現地に作家が行くことは、誰がどのように使うかなどターゲットが見えてくる」と若い人による積極的な活動による販路拡大への期待を語った。また、イタリアのカフォスカリ・ベネチア大学との連携協定について紹介。今秋からインターンの受け入れを始めることを予定しており、日本の伝統工芸品を紹介するプログラムを用意していることを明らかにした。
ノンフィクション作家の岩中祥史氏は「北前船を追いかけた先にミラノがあった。今回は、岡山と秋田という県民性が濃い2つの県が一緒になるとどうなるかに関心を寄せた。予想外と言っては失礼だが、日本の伝統工芸品を世界に広げる第一歩を築くなど、たいへん素晴らしいコラボレーションだった」と話し、今後の展開に期待した。
展示会で撮影などを行ったオーパスの今城裕治社長は「世界中の作品がある中で、しっかりと備前焼と曲げわっぱが存在を主張していた。備前焼に1本の花があればどんなに奇麗になるのだろうか、曲げワッパに卵焼きや秋田の食べ物が入ればどんなに美味しそうになるのだろうかと想像が膨らんだ。日常的に使われるものの価値をもっと知らしめることができればさらに素晴らしいものになる」とカメラを通した視点を紹介した。
渋谷区観光協会の小池ひろよ理事兼事務局長は「伝統工芸は、物自体というよりは職人の魂が込められた技術を継承することにつながる。日本の伝統工芸がラグジュアリーであるということが当たり前となれば、市場も盛り上がってくる」と期待を寄せた。「渋谷区が地方誘客のゲートウェイとして、そして伝統工芸を継承して商売に発展する取り組みをともに行っていきたい」とした。
北前船交流拡大機構と地域連携研究所は6月27―29日に北海道釧路市・釧路町で北前船寄港地フォーラム・地域連携研究所大会を開く予定。
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