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「国境の旅」を推進 JBTA伊豆会長と事務局川上さんに聞く(1) 海外と国内を楽しむ新しい形

日本国内の「国境のまち」を訪ねたり、そのまちと歴史的につながりの深い他国の対岸都市を、国境を越えて訪問する国境観光(ボーダーツーリズム)の推進に、ボーダーツーリズム推進協議会(JBTA、ジャパンボーダーツーリズム・アソシエーション)が取り組んでいる。10 月にはチャーター機で長崎県五島から韓国済州島への国境の旅(3日間と5日間)を催行し、五島島民を含む約50人が参加した。同協議会の伊豆芳人会長(ANA総合研究所客員研究員)と、同会事務局を担当する川上朋来さん(ビッグホリデー東京支店長)に聞いた。

「国境は行き止まりでななく隣国につながるゲートウェイ」

地続きで他国と接しない島国日本では、なかなか実感することができない国境。ただ、地政学的に、歴史的に他国と密接につながってきた国境と呼べる場所もある。

―ボーダーツーリズム推進の母体となっている協議会について教えてください。

伊豆 国境問題に造詣が深い大学教授・研究者を中心にした「国境地域研究センター」という組織があります。国境のまちが抱える経済、環境、地域、文化、国際といった問題を研究し、国境地域で生じているな問題の解決や国境地域の発展に寄与することを目的としている組織です。そのなかで観光による国境地域の活性化に集中して取り組もうと、旅行業経験者が加わり2017年に発足したのが協議会です。

ボーダーツーリズム推進協議会

ボーダーツーリズムを語る
伊豆会長(右)と川上さん

―ボーダーツーリズムとはどのようなものでしょう。

伊豆 「越える」「見る」「比較する」をテーマに、国内の国境や境界地域と対岸にある隣国の国境を同時に訪れる新たなツーリズムの形です。具体的には同じ旅程の中で向かい合った国境を訪ねる旅を普及させたい。船にしろ飛行機にしろ、越境することを実感しながら対岸の国境のまちを訪ね、2つの国境を見る、比較することの面白さを伝えたいと思っています。

川上 協議会発足後、17年にボーダーツーリズムと銘打って、対馬・釜山の国境ツアーを催行し、今年は10月にチャーター機で行く五島・済州島ツアーを催行しました。福岡空港―五島福江―済州島―五島福江―福岡の行程の5日間コース(五島2泊・済州2泊、13万9800円)と、五島福江―済州島―五島福江を行程とする3日間コース(済州2泊、7万9800円)で、約50人に参加いただきました。

それぞれの土地で、2つの国境に関わりの深い史跡を旅程に入れることで「交流の歴史を実感できた」と好評でした。国境は行き止まりでななく、隣国につながるゲートウェイだということを、ツアーを造成する私たちも実感し、新しい観光テーマとして自信を持つことができました。

(次の記事)「国境の旅」を推進 JBTA伊豆会長と事務局川上さんに聞く(2) 日本の隅々を活性化させる

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