令和トラベル、国内ホテル事業参入 受田宏基CBOに聞く
旅行アプリ「NEWT(ニュート)」を運営する令和トラベルが国内ホテル事業への参入を発表した。サービス開始から3周年を迎え、約80エリアに展開する海外事業で成長を遂げてきたが、新たに国内市場へ本格的に乗り出す。狙いは利用者との接点拡大と、将来的なインバウンド集客の基盤づくりに加え、〝グローバルOTA〟への進化だ。国内ホテル事業の狙いや今後の展望などを執行役員CBO(Chief Business Officer)の受田宏基さんに聞いた。
訪日需要を視野にグローバルOTAへ
―国内ホテル事業のきっかけや狙いは。
令和トラベルは今年で4年目を迎え、サービス開始から3周年となりました。祖業は海外へのツアーパッケージ販売で、日本人のお客様による海外旅行を支援してきました。現在では、全世界約80エリアをカバーし、ツアーの本数も15万本を超え、主要な観光先はほとんどそろっています。ただ、一般的に海外旅行の頻度は1、2年に1回と限られています。より多くのタッチポイントを持ちたいと考え、国内ホテル事業の立ち上げに踏み切りました。
現在は、会員のほとんどが国内在住者であり、国内旅行のニーズが強いことも背景にあります。「海外だけでなく国内の宿泊も利用したい」という声は多く、ニーズに応えたいという強い思いもありました。
もう一つ、大きな狙いは〝グローバルOTA〟を目指すことです。日本のインバウンド市場は非常に活況で、そこへの挑戦のためにも国内のホテル旅館との連携を深め、国内での基盤を整えていきたいと考えています。
―取り扱うホテルについて教えてください。
他のOTAのように高級からカジュアルまで幅広い層に対応できる形を目指しています。私が以前在籍していたOTAでは高級宿に特化していましたが、総合的なラインナップを整えていく方針です。高級旅館やリゾートホテルも扱いますしビジネスホテルや都市型ホテルも同様に重要です。多様な宿泊ニーズをカバーする総合型OTAへと進化させていきます。

日本発のOTAとしてグローバルに存在感を示す
挑戦を続けていくと話す受田さん
―他のOTAとの違いはいかがですか。
差別化のポイントは“ポイントの循環性”にあります。NEWTカスタマーにおける海外旅行の平均単価が約20万円と高額で、現在、旅行金額の5%のポイント還元を行っています。そのポイントを国内ホテルで利用でき、逆に国内で貯めたポイントを海外旅行に充てることも可能です。例えば、夏に家族で海外旅行に行き、秋に国内温泉旅行を予約する際にポイントを使う。逆に出張や週末旅行で貯めたポイントを次の海外旅行に活用する。こうした循環ができるのは、海外旅行を基盤にしてきた当社ならではの強みとなります。
―インバウンドはどの層を狙っていますか。
2025年6月に韓国で拠点を立ち上げました。まずはソウルでホテルとの契約を進め、日本からのアウトバウンド強化を図っています。エリアは日本からのアウトバウンドとインバウンドのバランスを見ながらインバウンドを拡大していくエリアを定めていきたいと考えています。未定ですが韓国に加え台湾、香港、シンガポールなど東・東南アジアの市場を重点的に狙っています。
―地域観光との連携や着地型体験については。
差別化の一つとして「NEWT Wonder」という取り組みを行っています。単なる宿泊予約にとどまらず、地域や施設と連携し、一気通貫で体験型コンテンツをつくる仕組みです。
海外では中国・雲南省でワイン体験を行ったほか、国内では鹿児島・屋久島の自然や富山のグルメをテーマにしたプランなどを展開しています。こうした取り組みで、ただの集客サイトではなく、旅行における“体験価値”を一緒に作っていきたいと考えています。
―国内ホテル事業で直面している課題は。
都心や繁忙期のホテル料金(ADR)の高騰により、国内のお客様の集客が難しい局面があります。また、…
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