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団体旅行は日本固有の文化 池の平ホテル&リゾーツ・矢島義拡社長の思い(2) 団体客の供給を減らす違和感

MICEを含め多様化に対応

―団体客が減少し、宴会場などを潰す施設が増えている中、なぜ今回宴会場やコンベンションホールといった団体受け入れ部門を強化されたのでしょうか。

ご指摘の通り、団体でご利用されるお客様の旅行形態は低減していましたが、コロナ禍でその動きがさらに加速したことは厳然たる事実だと思います。同時に、コロナ禍で観光庁によるエリア一帯の高付加価値化事業などの各ハード改修に伴う補助金を活用し、これまでの宴会場やコンベンションを廃して個人向けの設備に転換、改修する宿泊施設の動きが目立ちました。

私自身は、団体客をお迎えする前提、環境としての“供給”を減らす宿泊施設側の動きに対し、強烈な違和感を持っています。日本には、日本固有の宴会団体旅行や団体教育旅行という旅行形態があります。これは単なる旅の形態という範ちゅうを越えた、日本の文化です。

文化でもある、この固有の旅の形態に相対している私どもは、需要が減るから供給を減らすという姿勢ではなく、旅行会社様と我々施設側が共闘し、お客様に評価いただけるだけの商品を磨き続けていくことによって、日本固有の旅の形態を守っていくべきだと思っています。

需要減という理由で、供給側が団体受け入れの設備投資に消極的になっている今、独自性と競争力を担保する機会だと思っていますし、引き続いて団体市場を担わせていただきたいと強く思っています。この当館の投資への取り組みにわずかでも共感いただける旅行会社様がいれば、たいへんありがたいですし、励みにもなります。

―これからの団体旅行、個人旅行をどのように捉えておられますか。

この10年で日本人の個人旅行のあり方は多様化し、どこまでを旅として位置づけるのかといった境界線も曖昧になっています。団体旅行と個人旅行という境目も、これまで以上になくなっていくのは間違いないでしょうね。これからの10年、個人旅行の多様化の速度以上に、団体旅行の多様化も進むと思われます。その変化に対応していくのは大変なことではありますが、やりがいのある挑戦であると思っています。

MICEとして大きくくくられる旅行形態や募集形態での団体旅行は世界各国に汎用された旅の形として、しばらくの間は市場が海外にも広がっていますから、当社としてはその市場へ引き続きアプローチを続けてまいります。それと同時に団体旅行先進国である日本として、もっと多様な国内団体旅行をお客様に提案していける一翼を担えたらとも思っています。

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