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人口減に対応する地域経営―日本版DMOに必要な視座 和歌山大学がシンポジウム(2)

JTIC.SWISSの山田桂一郎代表は、持続可能な観光地づくりに不可欠なのは「自立」だと強調。「地域の中で観光のあり方を考えるべきです。今のDMOの多くは組織を作ることが目的化してしまっています。観光のための観光は地域内で協力者が減っていきます。関係者が主体となること。そのために観光がどう、何ができるのかを考えていくべきです」と力説した。

その上で「日本の地域振興の課題は人口減少です。そのためには自分たちでマーケティング、ブランディングを行い、地域にお金が循環するキャッシュフローを作らなければなりません。地域の人にも、訪れた人にもLTV、生涯価値を提供することが大切です」。

国際的視野で考える日本・関西インバウンドの次なる展開

オーバーツーリズムを話題にDMOの役割が語られた

UNWTOでDMOの認証制度に携わるソニア・フィギュラスさんも加わったパネルディスカッションでは、観光公害をもたらすオーバーツーリズムが話題になった。ソニアさんは、DMOの役割として「フローマネジメント」が必要と説いた。「予約時期を前倒しする。ブータンのように滞在時に高消費が必要なようにする。観光ルートを整備し、面白い体験が他地域でできることを促してもいいと思います。ローカルコミュニティのためのツーリズムであることが大切です」。

多田さんは「観光のモノサシ、数字の取り方を変える。日帰りはいらないという別の軸を作ることが大事では」。

パトリシアさんは「地域の生産物がバリューチェーンに入っていないから問題が顕在化する。DMOはそれができ、その役割が求められている」とした。

山田さんは「将来の人から良しと言ってもらえることが大事。地域に合わない人は断る勇気も必要ではないでしょうか。地域の課題にコミットしていくのがDMOです。日本の場合のDMOは特殊で、観光誘致が主目的ではなく、地域の自立と持続可能のために人口が減らない努力をしていかなければなりません」。

(前の記事)人口減に対応する地域経営―日本版DMOに必要な視座 和歌山大学がシンポジウム(1)

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