職場づくり 若者の可能性を広げる
四季の中では一番過ごしやすく、外を出歩くにはちょうど気持ちのよい季節になってまいりましたが、一向に落ち着かないこの状況に、病院関係はもちろんのこと飲食業・サービス業・旅館ホテル業…どこも大変な苦境の中踏ん張っておられることと思います。
本来であればお花見弁当を持って行楽地へ…と考える時期ですが、動きづらい日々が続いております。「動けない」「仕方ない」と思うばかりではなく、楽しいこと・新しいことを考えていく方がよいですね。
今は本当に厳しい時代で、お客様には喜んでほしいものの売り上げが上がらないため予算を切り詰めねばならず、社員の士気も高まりにくいと思います。それでも、予約が取れないことをフロントのせいにもできませんし、その穴埋めをするべく料理長に食材の原価ばかり下げさせてしまってもいけません。
守りに入ってしまったり、やる気をそがれ何も考えずに毎日時間が過ぎるだけでは意味がありません。いいことも悪いことも挑戦していくべきだと思います。新しいことに挑戦する時には、何が良くて何が悪いのか判断がつかないことも多いと思います。それをフォローし補い合える関係性をぜひ職場で築いていってほしいと思うのです。オーナーや支配人は従業員を潰すのではなく、可能性を広げ様々なことに挑戦できるよう広い視野で周りを見てください。
私自身、あんなにも年中飛び回っていた生活が一変しました。
振り返ると感じるですが「今の若者は『トンネル』を好むのだな」と思うのです。若い人たちは、遠い地であってもその場所へ行き、きれいな場所は見ているものの、あっという間に移動し、すごい速さで通り過ぎるだけで記憶には残らない−。もしくはネットで世界中のものを見たり聞いたりすることはできるけれど、簡単で苦労がなく、これも記憶に残りにくい−。昔は、それだけの利便性や情報量がないだけに、皆自分の足で動き…
(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)
(トラベルニュースat 2021年4月10日号)
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