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講釈師が語る一休さんの二十八 名僧と高僧、往来で歌の遣り取り

これを聞いて一休禅師が「なるほど。では西方に極楽浄土あり、また一百三十六地獄ありと言うが、ワシは行ったことがないどうかそれを教えて貰いたい」「左様で御座いますか。『有りと言う 人には地獄は 有るものぞ 無しと思えば 人にこそ拠れ』」。

「うん、其の通りじゃ、聴きにし勝った当時の名僧、実に天晴な人じゃ。時に真の仏というは何処にあるか。これも序に教えて貰いたい」「真の仏?」とさしもの蓮如上人も言葉に詰まってしまうから一休が「それはこうではないかな? 『金仏(かなぶつ)や 木仏画仏石仏(きぶつがぶついしぼとけ) 有難がるも 口きかぬ故』『釈迦阿弥陀 地蔵薬師と 名は有れど 心は同じ 仏なりけり』と二つ詠んで

「しかしながら誠の仏はこのしゃれこうべである」。ぐっとしゃれこうべを突き出したから「如何様こうなれば目出度き最上でござる。これが真の極楽」と上人はこれを手に取って、二三押し頂いた。

「いやどうも天晴じゃ。天下の名僧恐れ入った。まだまだ聞きたいことが御座いますが、今日はこれでお暇を頂戴する。いずれ近きうちにお目にかかる事もあるじゃろうが。いやおおきに妨げを致しました」と一休がカラカラ笑いながら遠ざかっていく…。

名僧と高僧が図らずも言葉を交わしたのは実はこういう歌の遣り取りがあったと講談師だけが言うてますが。

ところがその年の二月。一休の庵にやって参りましたのが、立派な身なりの侍で。

「お頼み申します」「はい、何方で」「拙者は丹後宮津の城主、桃井若狭之介家来、上村内記と申します…

(旭堂南龍=講談師)

(トラベルニュースat 2022年10月10日号)

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