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講釈師が語る円山応挙その一 飲み過ぎて夜中に目を覚ますと

江戸後期写実派の絵師と言うより、幽霊画の絵師として有名な円山応挙。元は京都の生まれで、若い時分から絵道具一式を持ち日本六十余州を渡り歩きながら修行の日々。丁度九州の長崎へ立ち寄った折、ご贔屓の案内で円山遊郭の巴楼で遊ぶことになります。大体お酒が好きな男、その晩は飲めや歌えやの大騒ぎ、何時しか強かに酔い潰れて部屋へ連れて行かれると正体もなくぐっすりと眠る真夜中、ひょいっと目が覚めれば喉がひりつくように乾いております。

酒を呑むとなぜ喉が渇くか? これは体内に入ったアルコールを分解する際に水が必要となります。つまり体内でアルコールの加水分解作用が働くので喉が渇いてしまうという。私の講談は理科の勉強になるのも特徴です。

応挙が寝間の中から起き上がり、薄暗い廊下を伝って水飲み場へ、柄杓で水を汲んで「ゴクリ」とひと飲み。「あぁ、酔い醒めの水、千両と値が決まりとは、よう言うたもんじゃ。ふぅ」。ボーン。丑の刻、真夜中を知らせる鐘の音色。「あぁ、また妙な時刻に目が覚めたわい。もうひと眠りしようか」

部屋へ戻ろうとしたこの折り「うーん。うーん」。遠くの方から微かにうめき声とも鳴き声ともつかぬような声。ヒョイッと振り返りじっと耳を済ませば、向こうの廊下の曲がり角辺り聞こえてくるので、声を頼りに近付いてみれば、そこは汚い破れ障子。ぼんやりと明かりが漏れている処を見れば、どうやら行燈部屋。障子の破れから、恐る恐る中を覗いてみると、煎餅布団の上に痩せた衰えた女が髪をおどろに振り乱し…

(旭堂南龍=講談師)

(トラベルニュースat 2024年5月10日号)

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