想い出づくり生産産業
今号の本紙5面で紹介している「コロッケの旅うた−和歌山編」の取材で、コロッケさんと話す機会に恵まれた。コロッケさんはある時、若い男性から「コロッケさんは僕とおばあちゃんの思い出なんです」と言われた。どういうことなのか聞いてみると「幼い時におばあちゃんと一緒にコロッケさんのコンサートに行ったことがあり、おばあちゃんが亡くなった今も思い出すからなんです」と返ってきたそうだ。
若い男性との会話で、他人やその家族の会話の中に自分の名前が残るということをコロッケさんは実感した。そして「その人たちがお持ちの百ページある思い出のページの1ページに、数行残る仕事をしているんだな。それが現在・過去・未来に続く仕事なんだ」。自身の仕事の方向性が定まった瞬間だった。
コロッケさんの仕事に取り組む姿勢に共感した。10数年前にある方から観光業は「想い出づくり生産産業だ。にもかかわらず、それを意識して仕事をしている人があまりにも少ない」と嘆いていたことを思い出した。今はどうだろう。
コロナ禍でそんなことを考えている余裕はないのかもしれない。だがアフターコロナの観光業、特にリアルな仕事現場にとって「想い出づくり生産産業」を意識して仕事に取り組むのは必須であるように思う。
(トラベルニュースat 21年11月25日号)
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