今こそ宿泊料金を考える
先だって取材した旅館団体の会合で「全国旅行支援のスタートによって一部の報道機関から旅館ホテルが便乗値上げをしていると報じられた。我々は高付加価値事業に取り組み、商品価値を高めてきた。自信を持って高品質なサービスを提供していこう」という発言があった。
高付加価値に取り組んで宿の価値を高め、高品質のサービスを提供してきたのだから価格を上げることは間違っていない、という主張には基本的に賛同する。宿の価値を高めることに見合った価格帯にし、利益を社員に還元すべく努力している施設が大半だとは思うからだ。
ただ問題は、旧態依然のままでありながら、全国旅行支援の便乗値上げをしている施設が少なからずあるという現実だ。実際に宿から「現在は宿泊予約が取れにくい状況なのだから、単価を上げても当然。コロナ禍でこれまでどれほど辛い思いをして耐え忍んできたことか。今、損をした分を取り戻せる好機到来だ」と聞いたことがある。反面、旅行会社からは「あの程度の施設で、あれだけの料金をよく取れるものだ」という話も耳にする。
報道機関に報じられたことを自ら証明してしまうような失態は、観光客が動き出した今だからこそ避けたい。宿は、その地域の顔にもなりうるという矜持を共有したい。
(トラベルニュースat 22年12月10日号)
- 百年先を見る道後温泉(24/07/26)
- 宿泊税は地域のために(24/07/11)
- 危険な大手の仕事ぶり(24/06/25)
- 総会にチーム力を見る(24/06/12)
- 観光ゴーストタウン(24/05/27)
- 「深化」する東尋坊(24/05/13)
- 発地と着地の新たな連携(24/04/26)