みせましょう観光の力 九州北部豪雨・送客で地域にエールを
7月5日から福岡県や大分県を襲った九州北部豪雨は、朝倉市や日田市などで大きな被害をもたらした。昨年の熊本地震からの観光需要の回復が顕著となってきた矢先の災害。JTBなどの夏の旅行動向見通しでも、今夏は九州方面の好調ぶりが明らかにされていただけに、繁忙期直前に水差す事態に地元では風評被害への懸念が広まっている。多くの観光地、温泉地は通常通り営業しており、観光の力で一日も早い復旧を図りたい。
福岡・大分温泉地、宿は元気に通常営業
弊紙連載「誇りへの闘い」で全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会特別政治顧問の小原健史さんが書いているように、豪雨発生後、大分県由布院や別府、福岡県原鶴など温泉地ではキャンセルが相次いだ。
しかし、大分県内では、7月15日時点で日田市の一部で住民の避難などが続くものの、市内の旅館ホテル、観光施設は通常通り営業している。原鶴はもちろん由布院や別府などでも旅館ホテルに影響はなく、元気な営業をアピールしている。
観光の足となる交通面では同10日時点で高速道路の通行止めが解除され、中心被災部を除きアクセスに支障はない。ただ、JR日田彦山線・添田―夜明間、久大本線・光岡―日田間は橋りょうが流されるなど被害が大きく、復旧の見通しが立っていない。久大本線についてはバスによる代替輸送を実施している。
JR九州は、博多と由布院・別府を結ぶ観光列車「ゆふいんの森」は同15日から小倉―大分を経由する代替ルートで運行再開。豪華寝台列車「ななつ星in九州」も8月22日から、久大本線から日豊線への代替ルートで運行を再開する予定だ。
九州では昨年、熊本地震が発生し一時は観光客の足が遠のいたが、夏秋と設定した「九州ふっこう割」が功を奏して6カ月間に270万人の宿泊需要を創出。観光の力によって被災地復興の道すじを示した。
7月には福岡県宗像市と福津市にまたがる「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産に登録された。観光客の送客によって地域にエールを届けることも可能だ。
(トラベルニュースat 17年7月25日号)
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