旅行業プラス・ワン 全旅・中間社長3期目の決意(1) 会員向け施策など奏功
「会員の立場になって何ができて、何をすべきなのか」−。全旅の中間幹夫社長が社長に就いてからの2期4年は、その追求だった。会員旅行会社との距離を縮め、接する機会を増やそうと営業部を立ち上げたのが2年前。そこで得た生の声を施策に生かし、連帯保証人や保証料のハードルを下げ全旅クーポンの会員拡大につなげ、会員が脅威としていたOTAも「Trip全旅」で対抗策を打ち出した。そして次の3期目。中間社長は「我々中小旅行会社の潜在能力を引き出すプラスワンの事業を打ち立てたい」と意欲をみせる。
クーポン事業に手応え
全旅の2018年度の実績はクーポン事業が前年度比110%の342億円、旅行事業が同115%の8億2千万円、保険事業同101%の10億1千万円など好調に推移した。
特に、クーポン事業に関しては保証料や入会金、事務手数料などを減免し、今年に入ってから約400社が新たに加入した。会員の負担を直接減らす一方で、若手会員旅行会社からの声を参考に、高速道路などにも使えるという業務用クーポンもつくった。これらは「会員の利便性、会員の選択肢を増やし、会員の利益につながる。そのサイクルを構築するため」という中間社長の思いを具体化したものだ。
クーポン制度の改革と同時に進めてきたのが、会員専用オンライン予約システムの「Trip全旅」。ANTA会員の弱点とされてきた「空中戦」に挑むツールとして一ホテル最大80室が予約できるなど、会員旅行会社の武器になるよう機能を備えさせた。「まだ緒についたばかりですが、これまで負け続けていたオンライン、デジタル革命に一矢を報いたいですし、BtoBだけではなく直接Cと取引できるようにしたい」という。
またキャッシュレス化が進む中で、全旅ペイメントも非対面型に加えて対面型も導入。決済手数料が低く、会員の収益に貢献している。「逆ザヤで収益面では前年を少し割り込みましたがツールとして全国のANTA会員に導入してほしい」。
(トラベルニュースat 19年6月25日号)
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