持続可能なチームになる! 2019年観光番付(2) RWCとSDGsに次代の観光
ノーモア一過性 好機を未来へつなぐ意識改革
2019年を振り返ると、ラグビーワールドカップ(RWC)2019日本大会のインパクトは大きかった。スタジアムの入場者は170万人、各地のパブリックビューイングでも100万人を超し、出場国を中心に外国人ファンも多数来日。JNTOがまとめた9―10月2カ月間のラグビー出場20カ国・地域からの旅行者は前年比で3割増、人数では17万4千人増えた。
RWC日本大会組織委員会が見込んでいた40万人には届かなかったかもしれないが、人数に換算できない、ホスト国の楽しみをキャンプ地や開催地で多くの日本人が体験した。本紙記者も札幌と東京のスタジアムで生観戦したほか、にわかファンの別の記者はスポーツパブでラグビーを共通言語に乾杯を繰り返した。出場選手もファンも多様でモザイク模様で、観光立国ってこんなことなのかもしれないと飛躍気味に思索したこともRWCの効果かなと思う。
来年は東京2020オリンピック・パラリンピック。新国立競技場も11月30日に完成した。大会期間中の猛暑の心配でマラソンなどの開催地がかわるとか、国や都が莫大な金を使っていることを知らされれば気持ちは沈むが、それでもホスト国として歓迎しよう。一過性にならないように。
一過性と対極といえば、たぶん「S D Gs(持続可能な開発目標)」。国連の地球温暖化サミットのグレタ・トゥーンベリさん(16)の怒りの演説は強烈だった。大人たちに向かって「あなた方が話すことはお金のことや永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり。よくそんなことが言えますね。環境問題があることを理解していながら行動を起こしていないのならば、あなた方は邪悪そのものです」。
今年、大阪で初めて開催されたツーリズムEXPOジャパンでも、持続可能な観光は大きなテーマとして据えられていた。EXPOの実行委員長でJATAの田川博己会長は会期中のセミナーで、旅行業界を志望する学生に「SDGsを学んでください」と呼びかけていたのが印象に残る。
だが、環境に最も負荷が大きい移動手段といわれる飛行機を一切使わないグレタさんを見ていると、来年3月から羽田空港の国際線の発着回数を年間約3万9千回に増やすことなどを追い風と表しているままでいいのだろうかと、猛威を増す天災に直面し自問する。
5月1日に新天皇が即位し、元号が平成から令和へと移った。昭和から平成への代替わりが天皇の崩御に伴うもので社会全体が自粛ムードに覆われたのに比べ、お祝いムード一色に包まれた代替わりは、景気もプラスに刺激した。
特に、ゴールデンウイークは空前の10連休となった。東京のホテル経営者は「上皇様からのプレゼント」と歓迎していたし、平成から令和に変わる瞬間を体験するツアーなども人気を呼んだ。国内旅行者は増え、観光業界に恩恵をもたらした一方で、その反動もあったのは事実だが。
(トラベルニュースat 19年12月10日号)
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