新たな地平を開く 逆境下で挑む3氏(4) 山本浩司さん(ダゼロ株式会社代表取締役)
海外富裕層がターゲット
「大阪・関西万博のアクセスは大阪メトロ中央線が主です。万博の想定入場者数と中央線の輸送量を試算してみると、1列車あたりの乗車率は185%になります。そんなギュウギュウ詰めの地下鉄に訪日外国人観光客が乗りますか? 特に富裕層なんて行きたいと思わないですよね」
そんな自身の仮説に基づいて「ヘリコプターは無理だけど、船だったら何とかなる」と思って起業を思いついたのが3年前。船舶免許と客を乗せられる特定免許を取得し「できるわけない」との周りの声も無視して、大手総菜メーカーを退職。ベンチャーキャピタルや銀行マンを前に、イタリアの体験と「ベネチアと大阪は似ている」と演説をぶった。もちろん、事業計画もちゃんと作ったけれども。

山本浩司さん
ダゼロ株式会社
代表取締役
たまたま売りに出されていたベネチア製の木造ボート。投資家の入金とボート売り主の期限がぎりぎり合致し購入。「イタリアにこだわった事業をしなさい」という先輩の助言通り、イタリア領事館にセールス。帰国間近の駐日大使がたまたま乗船してくれることになり水都・大阪の異日常の体験を絶賛。富裕層インバウンド向けの事業は軌道に乗るはずだった。コロナが来なければ。
「実は」と言って口にしたのはイタリア渡航のきっかけになった親友の死。それを思えばコロナは屁でもない。7年過ごしたイタリアーノ精神で乗り越える。

社名のダゼロは、イタリア語で「ゼロからイチをつくる」という意味。
2025年にはジュウにもヒャクにもなりそう
(トラベルニュースat 21年9月10日号)
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