パンデミック前の水準へ 23年旅行市場をUNWTO、JTBが予測(1) 国内旅行人数、消費額とも回復
2023年の旅行市場は、国内外ともパンデミック前の水準に戻りそうだ。国連世界観光機関(UNWTO)の世界観光指標、JTBの2023年旅行動向の見通しが1月に相次いで発表された。UNWTOでは今年の国際観光客到着数は、パンデミック前の80%から95%に達する可能性があると見通す。JTBも同様に87・8%まで戻ると予測。本格的な旅行復活へ着実に前進する一年になる見込みだ。
円安で訪日客は2千万人台
JTBの旅行動向の見通しによると23年の総旅行人数は推計値で2億7440万人。前年比では10・7%増で、コロナ前の19年比では12・2%減まで戻る。
国内旅行市場は、個人での感染症対策の浸透や全国旅行支援などの施策などから昨年秋から大きな回復傾向に入った。円安などによる家計状況の悪化といった懸念もあるものの、コロナ前の水準に迫るまで回復するとみて、今年の国内旅行人数は前年比8・6%増、19年比8・8%減の2億6600万人と予測した。
国内旅行の平均消費額は同1・5%増、19年比5・8%増の4万300円。消費額合計は同10・2%増、19年比3・6%減の10兆7200億円まで戻ると試算した。
国内旅行動向は、ワールド・ベースボール・クラシックの東京ラウンドをはじめ大型スポーツイベントが豊富。東京ディズニーリゾートの40周年や各地で商業施設やホテルの開業が相次ぐなど話題が多い。旅行トレンドとしてはワーケーションやカーボンニュートラル、SDGsに配慮した商品の増加など新たな旅のスタイルの浸透が一層進みそうだ。
海外旅行については、水際対策の緩和やパッケージツアーの販売再開で増加傾向。ただ、国際情勢の不透明さや円安、燃油サーチャージの上昇もあり、同189・7%増、19年比59・6%減の840万人と緩慢な回復にとどまりそうだ。平均消費額は同1・8%増、19年比24・3%増の29万4900円、消費総額は同195・2%増、19年比48・0%減の2兆4800億円。
一方、訪日旅行は円安が追い風になり同450・6%増、19年比33・8%減の2110万人と急速な回復を予測。本格的なインバウンド再開が進むとみられ、受け入れ態勢の整備が急務になる。
(トラベルニュースat 2023年2月10日号)
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