訪日観光ジワリ復活 5月中に実証ツアー(1) 米豪など4カ国から、水際対策緩和を検証
観光庁は5月17日、訪日観光再開に向けた実証ツアーの受け入れを5月中に実施すると発表した。コロナ禍における規制の緩和が世界的に進む中、日本でもインバウンド受入再開に舵を切る。当面は1日あたり1万人の入国者の枠内で、少人数の行程が決まっているツアーに限定する。また、最大のインバウンド市場である中国がゼロコロナ政策をとっているほか、当初の受け入れ可能国も限定的なことから、インバウンドの本格回復はまだ見通せない。それでも訪日外国人観光客復活の道筋は定まったと言えそうだ。
観光産業V字回復に期待
観光庁の実証ツアーは、旅行会社が管理しやすい少人数であらかじめ行程が決まっているパッケージ型。感染防止対策の順守方法や陽性者の発生など緊急時の対応について検証した上で、旅行会社や宿泊事業が留意する点をまとめたガイドラインを策定する。受け入れの対象となるのはアメリカ、オーストラリア、タイ、シンガポールの4カ国で、ワクチンを3回接種済みの人限定だ。
一方、観光庁の発表を前に5月12日、日本観光振興協会や日本旅行業協会など観光関連9団体と3企業・グループ連名で「水際対策緩和に関する要望書」を斉藤鉄夫国交相に提出。(1)「観光」目的の入国の早期再開(2)入国者数制限の撤廃(3)外務省感染症危険情報レベルの見直し—について重点的に要望した。
(1)は入国規制で国際観光の競争力低下、「観光孤立国」となりかねないという危機感を訴えたもの。地域経済、観光産業のV字回復へインバウンド復活は欠かせず、段階的に訪日観光を拡大することを提案した。
(2)は入国・帰国者のうちワクチンを3回接種して海外出発前の検査結果が陰性の場合は日本到着時の検査を不要とし1日あたりの入国者数の制限を撤廃するよう求めた。
(3)については外務省感染症危険情報レベルをレベル1まで早期に引き下げることを要望した。
要望書に名を連ねたのは、日本観光振興協会▽日本旅行業協会▽全国旅行業協会▽日本ホテル協会▽全日本ホテル連盟▽日本旅館協会▽全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会▽日本バス協会▽日本民営鉄道協会▽全日本空輸▽日本航空▽JRグループ。斉藤国交相を訪ねたのは、髙橋広行JATA会長、近藤幸二ANTA副会長らだった。
(トラベルニュースat 2022年5月25日号)
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