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観光って、密なので 紙面から選ぶ2022年観光番付(3) 存在感増す全旅、全旅連青年部

リアル旅行会社の呉越同舟 「観光産業を基幹産業に」の思い

 全旅も次々に新たな施策を打ち出していたね。

 JTBと全旅クーポン会加盟契約を締結したしね。これで主要な大手旅行会社のパッケージ商品や在庫が全国の中小旅行会社でも取り扱えるようになった。コロナ禍で、地方店舗の統廃合を余儀なくされた大手にとってもメリットがあり、市場を席巻するOTAに対してリアル旅行会社の呉越同舟と言えそう。

 全旅は、MICEの運営管理をサポートするシステム「まるっとペイ」のリリースや、着地型旅行(地旅)と地産品を一堂に取り扱うECサイト「GOORBY」のオープンなど、地域や旅行会社のV字回復を促す先行投資に積極的だ。

 旅行損害保険でも教育旅行に特化した商品を保険会社と共同開発し画期的という旅行会社の声を聞いた。

 春から始めた広報誌「ZENRYO」も芸人を表紙に起用し、旅行業界の内向きな冊子とは思えないつくりだ。

 宿泊業界ではどうだろう。

 宿泊団体の節目の年だったことも記しておきたい。全旅連は100回目の全国大会を9月に東京で開催した。「全旅連SDGs元年」をうたい、次の100年を見据えていた。

 前日には全旅連青年部の臨時総会も開かれた。コロナ禍において業界団体を代表して陳情活動を主導してきたこともあって、政治家も多数参加していた。「観光産業を基幹産業に」という意気込みが青年部メンバーから伝わった会だった。

 全日本ホテル連盟は1年遅れで11月に東京で創立50周年の式典を開いた。清水嗣能会長がステージを歩きながら行った冒頭のあいさつはプレゼンテーションの番組を見ているようで、面白かった。

講演会でフロリダ観光のコロナ禍からの立ち直りを解説していたんだけど「あのケチなアメリカの経営者たちが時給を大幅に上げる決断をしたことで従業員を確保でき、急増したゲストの受け入れができた。経営者たちは、業界は人手不足だったんじゃなく、職場の魅力不足だったんだとようやく気づいたんです」と話していたのが印象に残っている。

 全日本ホテル連盟の式典が1年延期だったように、今年は業界団体の総会やフォーラムなどもン年ぶりの開催というのが多かった。久しぶりに顔を合わせた、と喜ぶ姿を多く見た。

 青年部の臨時総会で言い忘れたけど、来賓で観光庁の課長が地方創生のカギは宿が握っていると言い切ったこともよく覚えている。地域の高付加価値化はまず宿からとも。

(トラベルニュースat 2022年12月10日号)

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