ローカル電車で地域振興
兵庫県南部の播州エリアにはかつて旧播州鉄道の加古川線、三木線、鍛冶屋線、高砂線、北条線の5路線が走っていた。旧国鉄に移管されるなどして存続していたが、すでに多くが廃止。北条線は第3セクター鉄道「北条鉄道」として残る。
兵庫県加西市と小野市を結ぶ約14キロの短い北条鉄道がなぜ存続しえたのか。1995年の開業時から2005年までは赤字続き。鉄道ファンが乗りに来るだけで、沿線住民の関心は低かったという。
そこで8つある無人駅の駅長を公募し、駅長に鉄道の利用促進につながる活動を求めたほか、08年からは加西市とともに「北条鉄道まつり」を実施。鉄道事業者と市民との距離を縮めるイベントを開いた。こうした取り組みが功を奏し、沿線住民からの支援の輪が少しずつ広まった。
鉄道ファンに対しては、彼らに人気があるキハ40の中古車両を購入し、途中の法華口駅に「行き違い交差設備」を採り入れ写真撮影スポットとしたほか、列車本数も増発。夏には「かぶと虫列車」や「ビール列車」、冬には「おでん列車」などのイベント列車も走らせた。さらにはオリジナルグッズの販売を行うなど話題づくりに事欠かない。
市民と鉄道ファンのマンパワーを生かした取り組みが鉄道と地域を盛り上げる原動力になっている。
(トラベルニュースat 23年8月25日号)
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