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四字熟語で2023年の観光を占う(2) 霧中夢索・活禍激溌

次世代に「夢」託し「光」放つ

【霧中夢索】 造語の元となった暗中模索は「暗闇のなか手探りで物を探すこと」。転じて「どうしてよいか分からない状況で解決法や打開策をいろいろ試すこと」を意味する。この3年、我々はコロナ禍に直面しまさに暗中模索だった。

」を選んだ橋爪さんは「パンデミックによる最悪の状態は脱したが、先の見通しを立てることが難しい」とし、長期化するロシアのウクライナ侵攻、インフレと物資の不足など先行きに不安要因が多いと指摘する。ただ「観光業界だけではなく世界は先を読めない霧のなかにあるが、手探りだが希望をもって進む時期にある」とも橋爪さん。「観光業界は明るい光の指す方向に向かい霧を晴らす1年に」と励ます。

どんより眼ではいつまで経っても霧は晴れない。井門さんによると、今年は「今世紀最初で最後の人口世代交代の年」。つまり日本の人口のボリュームゾーンが団塊の世代から団塊ジュニアに転換する年になる。

だから、井門さんが選んだ「」とは「これから始まる観光の新世紀のこと。若い人たちにバトンタッチし夢を追う年の始まり」を意味する。Z世代のAdoが「夢を見せるよ、新時代だ」と歌うように、次世代の夢こそが霧を晴らすパワーになる。

【活禍激溌】 「激しい炎が勢いよく起こること」という意の活火激発の造語。リベンジ消費がトレンドと言われるように、やはりくすぶっていた火がどーんと燃える年にしたい。

山田さんの選んだ「」はまさにそう。「COVID―19感染症の悪影響からの『復活』」によって「本格的に事業『活動』が開始」する。その推進力は「観光関連事業者の『活躍』に期待」という。3年もの眠りから覚めて「みんなで『活』を入れて頑張りましょう」とエールを送る。

でも、激しい炎はもろ刃の剣。「」を今年の観字に挙げた井村さんは懸念していることもある。

「コロナ禍で観光客が『激減』し、コロナの規制を緩和で観光客が『激増』し、おかげで宿泊料金が『激安』から『激高』になった。万博を控えてホテルは『激増』、非接触サービスが増えて従業員は『激減』」と憂う。

「とにかく『緩やか』がない。すべてに『緩やかさ』が求められる超高齢社会において、利用者とサービスという商品の溝を埋める手立てがない。デジタル格差も急激に広がるのでは」と警鐘を鳴らす。何事も表裏一体だ。

(トラベルニュースat 2023年1月1日号)

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