地域活性化をお手伝い 京旅協、着地型旅行商品の開発本腰(1) 京北でモニターツアー
京都府旅行業協同組合(森野茂理事長=アルファトラベル)が、京都市のグリーンツーリズム事業に協力し、市北西部に位置する京北エリアの活性化に一役買っている。高齢化や過疎化が進む地域へ観光客や交流人口を増やし、地域と農林業の活性化につなげることを掲げる。3月下旬にはモニターツアーを実施した。
「西の鯖街道」と歴史、産業、食
京旅協がモニターツアーを実施した京北エリアは、京都市の中心市街地から車で約1時間。古くから農林業が盛んで、地域の中央を流れる上桂川では鮎やアマゴが獲れるなど自然豊かなエリア。納豆発祥の地とされているほか、明智光秀が築いた総石垣づくりの周山城跡など歴史的な資源も豊富だ。
ツアーは3月25日に「鯖寿司作り」、26日は「農家民宿」の体験として2回に分けて行い、それぞれ京旅協に加盟する旅行会社やバス会社の企画担当者10人が参加した。
このうち鯖寿司作り体験は、京北を通る国道162号が京都と若狭を結ぶ西の鯖街道とかつて呼ばれたことから、ツアーに盛り込んだ。
体験は、京都里山SDGsラボ「ことす」にあるキッチンラボで。廃校になった校舎を利用し、テレワークや住民が交流でき、里山ならではの食や健康、文化などを再発見し新たな「コト」を起こそうという施設。鯖の骨取りから寿司米に載せて巻くまで約1時間、地元の名店「京北すえひろ」のご主人の手ほどきで鯖寿司作りに、悪戦苦闘しながらチャレンジした。

鯖街道ゆかりの鯖寿司作り体験に挑戦
「慈眼寺」は、明智光秀ゆかりの寺。寺に祀られている木像は、安置されている厳しい顔つきで目の輝きも鋭く、黒塗りになっている姿に圧倒された。昨年の大河ドラマ放送時には「黒塗りの光秀像」として話題になった。
今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」ゆかりの寺もある。「宝泉寺」は、ドラマで市川猿之助さんが演じる僧・文覚が開創したと伝わる。ここの本尊も真っ黒な不動明王。もともと、光秀が建立した蜜厳寺(廃寺)にあったもので、光秀は戦の際、この不動明王に祈願して出陣したという。

真っ黒な不動明王を祀る宝泉寺

住職の尾池文章さん(全国旅行業協会京都府支部前支部長)
が境内を案内
また、京北エリアの産業観光も。「京北木こりヴィレッジ」は、木材の生産地らしい箸づくりが体験できるほか、インストラクターが同行し京北の里山風景を楽しむ四輪バギーツアーも行っている。「羽田酒造」は、清流・上桂川の伏流水を使った日本酒を造る。試飲もでき、地元の味噌をアテに純米、吟醸の2コースが用意され料金は各500円。予約は不要。40人まで対応できる。
さらに、京都市で最初にできた道の駅「ウッディ京北」や創作そば料理を味わった「京蕪庵」、A5・A4ランクの精肉販売とレストランを備える黒毛和牛牝牛専門店「登喜和」などにも立ち寄った。「亀屋廣清」は、地元産の蜂蜜と平飼い卵、四国産の和三盆を使ったカステラで有名。京北エリアにはこだわりの店も点在している。
ツアーに同行した京都市産業観光局産業企画室の清水岳敏さんは「インバウンド隆盛時、京都市街に人が集中し観光公害とまで言われました。市としては、郊外へ足を運んでいただける流れを作りたいと思っていたところ、京北で観光の機運が盛り上がってきました。京北の商工会と京旅協の皆さんで京北ツアーを造成していただきたい」。
京旅協の森野理事長は「近い将来、京北エリアに我々の仲間が旅行店舗を開設し、着地型商品を造っていければと思います。京北は歴史や文化、食などみどころがたくさんあります」と、京北エリアの活性化に取り組む意向だ。
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