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厳しさ越えて、春 接客サービス見直す好機

私の旅館にある河津桜が満開を迎えています。まだまだ寒いこの時期ですが、やはりピンク色の愛らしい花々を見ていると温かい気持ちになり、厳しい時を過ごしてきた今、少しの期待を持ちたいと思うようになってまいりました。

ようやくコロナのワクチン接種も始まり、外で安心して過ごせる日を待ちわびている人々ばかりでしょう。今、気を緩めていけないことはもちろんですが、オリンピックもいよいよ近づき何とか世界中の運気を上げたいと思うものです。

昨年からGo Toトラベルキャンペーンの停止、緊急事態宣言の発令など、本当にたいへんな時を過ごしてまいりました。

旅館ホテル業界も、あの手この手でもがき、残念ながら閉館になったところもあり歯がゆく思います。宿泊施設でありながら日帰りに重点を置いた取り組みをしたり、通信販売を始めたり、皆様の工夫をいろいろなところで見させていただいていましたが、その中に、従来の宿泊料よりも大きく値下げし、一気に30−40件の予約を増やしたホテルがありました。

増えたお客様数を見ると喜ぶオーナーですが、現実的には厳しい面もあります。宿泊料をこれだけ安くしたからといって、従来よりも料理の質を落とすわけにはいきません。量や質を落としてもクレームにつながりますし、変わらぬ料理を出しても原価率が大きく変わってくるのですから、月単位で振り返った時に追及されるのは自分たちではないか、と料理長は不安に感じているようでした。

宿泊料を下げ、目先のことだけ見ていても良い結果が出るとは限りません。長い目で見て、自分の旅館ホテルの良さを知っていただき、「また来たい」と思ってもらえるようにするにはどうしたらよいか、考えていってください…

(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)

(トラベルニュースat 2021年3月10日号)

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