楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

バリアフリー化で経営安定 なにわ一水

高齢化率が約3割に迫る今、新たな旅行市場として注目されているのがユニバーサルツーリズムである。その規模は、総務省や日本観光振興協会などのデータを基にした山陰経済経営研究所の推計によると、潜在需要(旅行を諦めている65歳以上のユニバーサルツーリズムの対象者)を含めて、2010年で約3兆300億円、20年には約3兆9千億円となり、国内市場の約4割を占めるという。

こうした背景を的確に見抜き、バリアフリー化を進め、顧客満足と従業員満足を実現し、安定経営にこぎつけたのが、松江しんじ湖温泉の旅館「なにわ一水」(島根県松江市)だ。創業100年の老舗で、地上5階建て25室。料理屋も営業しており、従業員は合わせて約60人。

今から13年前、旅行ニーズが団体客から個人客に移行しつつある中、高品質高単価客室を目指し4階客室を改装。その際、次の時代はバリアフリー化という設計士の提案を受け入れたのが始まりだった。スロープをつけ、段差をなくし、ドアの幅を広くする程度であったが、プランを造成し、販売を開始したところ、これが結構売れた。代表取締役社長の勝谷有史氏は次のように話す。

「できるところからバリアフリー化を進めました。4階に次いで3階、2階と整備し、現在2室のバリアフリー客室があります。これらを分析すると、まず1室に入る人数が多いです。介添えの人が平均して1―2人は同行してくる。当館は1室当たり2.2人から2.3人。その客室だけ3人に近い。だから多少1人の単価を下げても1室の売上は高い。予約も100日以上前から発生するし、キャンセルも少ない。早い時期から計画されているのでしょうね。リピーターになられる方も多いです」…

(井村日登美=ホテルジャーナリスト)

(トラベルニュースat 2019年1月25日号)

続きをご覧になりたい方は本紙をご購読ください
この記事をシェアする
購読申し込み
今読まれているニュース
地旅
今すぐにでも出たくなる旅 最新
新・観光スタイル打ち出す三重伊勢志摩

伊勢神宮をはじめ、数多くの観光スポットが点在する伊勢志摩。秋の本格的な観光シーズンを控え、...

「天領」大分日田・天ヶ瀬で温故知新の旅

4―6月に展開されていた「福岡・大分デスティネーションキャンペーン(DC)」は地域に“あた...

観光先進地・岐阜下呂が贈る心にしみる旅

持続可能―。地域の維持、そして未来への発展に向け各地で取り組みが進むが、岐阜県下呂市が展開...

トラベルニュース社の出版物
トラベルニュースat

観光・旅行業界の今に迫る面白くてときどき役に立つ専門紙。月2回発行

大阪案内所要覧

旅行業務必携。大阪にある全国の出先案内所収録。19年版発売中!

旅行業者さく引

セールス必携。近畿エリア全登録旅行業者を掲載。22年版発売中!

夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ