「不安」を旅行需要に転換
令和8年、新年あけましておめでとうございます。令和は西暦の下2桁を足すと年号になるのでわかりやすく、ありがたいです。
さて、日本の最多人口年齢の逆転が起こり、3年が経ちました。いよいよ観光の需要喚起と方法を抜本的に逆転していく時代になりました。
インバウンド需要も、世界中の生産年齢人口減少がボディブローとなり、金融工学で伸び続け、いわゆる「富裕層」を生み出してきた現代資本主義崩壊の足音も近づき、各国の成長率低下につながれば、かつて日本で起きたような出国者数の頭打ちにより停滞が始まるはずです。他国の経済成長を祈り続ける観光政策より、わが国の観光需要の多様化を企図したいところです。
70年代から数えて55年間支えてくれたレジャー需要はフェードアウトしています。さらに長いスパンで言えば、1806年に一夜湯治が始まって以来220年間続いた1泊食事つきの飯盛り宿制度も、料理を提供することを目的とした「泊まれる料亭」以外での需要は消え始めています。
レジャーが栄えた時代とは、人口が急増し、経済が自動成長した時期と重なります。逆に、人口が急減する時代、私たちは何をすれば無限の需要を生み出せるのでしょうか。
現在は、旅行者数が減るので、単価を上げることで総消費額を増やす観光政策にシフトしています。しかし、これでは数が必要な公共交通まで値上げせざるを得ません。そうすると一層旅行者は減るという悪循環に陥ります。単価ばかりが上がるので若者はSNSの世界に潜ったまま、リアルの旅先には出てこなくなりました。ただ、ヒントは彼らが書いたレポートの隅に隠されています。「団塊世代が作ってきた余暇、レジャー型観光が縮小し、Z世代以降は自己承認とか不安解消を目的とした観光が伸びるという指摘は、私のSNSの日常と重なるなと思った」。
おわかりでしょうか…
(井門隆夫=國學院大學観光まちづくり学部教授)
(トラベルニュースat 2026年1月1日号)
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