生成AIにできない雑談の創造力
生成AIが業務や日常生活に浸透し始めています。会議の議事録も、AIが文字起こしまで行ってくれるようになりました。
大学では生成AIを活用してレポートを作成する学生が増えています。プロのライターが書いたのではないかと思うほど完成度の高い文章も見受けられますが、教授陣もそうしたレポートに対して疑いの目を向けるようになってきました。AIで作成されたレポートは参考文献がすべてウェブサイトからの引用である場合が多く、それが判断材料となります。
また、旅のプランを立てる際にも、考えることを放棄した消費者が生成AIに相談するケースが増えています。ところが、このAIの回答がなかなか秀逸なのです。
定番の行程や概算見積もりはもちろん、少しマニアックなツアーまで、数秒で提案してくれます。試しに「さまざまなタイ料理を体験できるタイへの4泊5日のツアーを予算20万円で考えてください。バンコクを起点に、一般的なツアーとは異なる行程を提案してもらえますか?」と入力してみたところ、「ローカル屋台&市場食を味わう、隠れ家タイ飯ツアー」というテーマで、バンコク・オールドタウンの屋台巡りやアユタヤのローカル食堂、サムットソンクラームの発酵料理など、興味をそそる行程を提案してくれました。宿泊先は、観光客が少なく現地の雰囲気が残るアーリー地区のゲストハウスで、全行程の見積もりは14万円。「残りの予算でアップグレードも可能」という親切なコメントまで添えられていました。さらには、現地ツアーの紹介までしてくれます。
さて、こうした時代にあって、旅行業は生成AIとどのように共存していけばよいのでしょうか。
心配は無用です。AIが紹介するのは…
(井門隆夫=國學院大學観光まちづくり学部教授)
(トラベルニュースat 2025年6月25日号)
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