「新・三猿」の考え方
3匹の猿が両手で目と耳、口を隠している「見ざる聞かざる言わざる」。彫刻や置物などで知られる「三猿」は、日光東照宮のものが有名だが「自分に都合の悪いこと、人の欠点や過ちなどは見ない、聞かない、言わない」という意味がある。三猿に似た表現はアメリカやヨーロッパ、アジア、アフリカなど世界各地にあり、日本には8世紀ごろにシルクロードを経由して入ってきたそうだ。
先日、ある島で観光連盟の副会長をされている女性の自宅を伺った際、三猿の置物が置いてあった。よく見ると3匹の猿の表情は「見て聞いて喋る」になっている。副会長のご主人曰く「これからは『見ざる聞かざる言わざる』ではだめですよ。見て聞いたことを喋らないと」。
ご主人の話の意味からは若干離れるかもしれないが、観光業こそ「見たでござる、聞いたでござる、喋るでござる」の三猿が大事であるように思った。
あいさつのたびに「旅行業は情報産業だ。その情報を持っているかどうかで我々の方向性は決まる」と京都府旅行業協同組合の上原龍男理事長は話しておられるが、新しい三猿の考え方はこれと同じだ。
「見て聞いたことをお客様に生の声で話し、伝える」。旅行会社に限らず観光産業の強みは、この点にあると思うのだが、どうだろう。
(トラベルニュースat 17年9月25日号)
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