オンライン予約と独禁法
公正取引委員会はこのほど、楽天トラベル、ブッキング・ドットコム、エクスペディアのオンライン旅行予約サイト3社を独占禁止法違反の容疑で、立ち入り検査を行った。サイト登録する宿泊施設に対して宿泊料金が他の予約サイトと同額か、最安値になる条件を強いる契約を結んだという疑いだ。
3社のような契約を結ぶと宿泊施設は仲介手数料のかからない自社サイトで安い価格を提供ができなくなり、予約サイト間の健全な競争を阻害し、最終的には消費者にも不利益をもたらすことが懸念された。
宿泊施設の声を聞くと「独禁法の疑いがあるといった問題ではなく、海外のサイトは最初から契約書に最低価格の保証を強制していたように思う」「オンライン予約サイトの暗部がようやく浮き彫りになってきた」との意見がある一方「最低価格保証は以前からあった話。最低価格にすれば手数料も下げるといった契約で、大した強制力はない。無視している宿泊施設も多い」という業界関係者もいる。
公正取引委員会が検査に踏み切ったのはオンライン予約サイトの集客力が増し、影響力が強まった証でもある。独禁法のクローズアップで宿泊在庫をどう扱い、どの販売チャネルを使うかを宿側が熟考する時代に入ったと捉えるべきではないか。
(トラベルニュースat 19年4月25日号)
- 「バスの日」に思う(24/09/26)
- 高付加価値化とは―(24/09/10)
- 臨時情報下の同調圧力(24/08/28)
- 百年先を見る道後温泉(24/07/26)
- 宿泊税は地域のために(24/07/11)
- 危険な大手の仕事ぶり(24/06/25)
- 総会にチーム力を見る(24/06/12)