楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

接して肉声を聞く、仕事

20/09/10

「さらばモスクワ愚連隊」「青春の門」「大河の一滴」などの著作で知られる作家、五木寛之さんがこのほど出版した「こころの相続」(SBクリエイティブ)で、コロナ禍の日本社会が学ぶ教えとして“目に見えない財産の継承”を訴えている。

コロナ禍でこれまで当たり前のように人と人が会い、行ってきた打ち合わせや会議ができなくなった。その結果、インターネットを使ったリモート化が進んだが、それを人間同士の新たな交流の場の誕生と捉えるのはどうかと警鐘を鳴らす。

仏教の言葉で重要な教えを師から弟子に直接伝授することを面受(めんじゅ)と言うそうだ。五木さんは「面受とは、面と向かって話を聞くことがたくさんのことを学んだ、ということにはならず、接して肉声を聞くこと自体が大事だ」と説き、接したことが個人の記憶の集積となり歴史になるので、人と接することをないがしろにできないと説く。

翻って旅行会社をはじめ旅館ホテル、ドライブイン、観光施設など観光業。その生業はいずれも「接して肉声を聞く」なかにこそ、感動や感激があり、人が生きていくための糧を有している重要な仕事だと言える。コロナ禍はまだ続くが、人を元気にする「こころの相続」の一助になる仕事をしているとの自負をもって臨みたい。

(トラベルニュースat 20年9月10日号)

この記事をシェアする
購読申し込み
今読まれているニュース
地旅
今すぐにでも出たくなる旅 最新
個性全開、輝き増す山陰紀行・島根鳥取西部編

島根県では美肌県を前面に、2023年に高視聴率を記録したテレビドラマ「VIVANT」のロケ...

個性全開、輝き増す山陰紀行・鳥取東部三朝編

「蟹取県」「星取県」に続き、辰年の今年は「とっとリュウ県」―。県の形が龍に見える?ことから...

「光る君へ」稀代の女流作家の足跡求め・滋賀大津

後世に深く濃く語り継がれる名作を描いた女流作家は、混沌とする世の中を、愛を持って駆け抜けた...

トラベルニュース社の出版物
トラベルニュースat

観光・旅行業界の今に迫る面白くてときどき役に立つ専門紙。月2回発行

大阪案内所要覧

旅行業務必携。大阪にある全国の出先案内所収録。19年版発売中!

旅行業者さく引

セールス必携。近畿エリア全登録旅行業者を掲載。22年版発売中!

夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ