大手こそリアル戦略を
OTA(オンライン・トラベル・エージェンシー)が席巻し、リアル旅行会社の苦戦が続いてきた中でのコロナ禍。特に大手旅行会社は組織の刷新などを余儀なくされ、支店や営業所の統合、閉鎖などリアル窓口が大幅に縮小されている。
そうしたなか、大手各社は相次いで中期経営計画を策定。その多くはOTAを追随するダイナミックパッケージの強化、インターネット販売の拡充をうたう。先行するOTAの土俵で真っ向勝負を挑む潔さは買うけれども、自社店舗で培ってきたリアルなネットワークをもっと生かす施策はないのだろうか。
例えば、こんなことを思う。支店を閉鎖したことで生じた固定経費のお金を店舗が所在していた地元の中小旅行会社に還元、代売による販売手数料をアップして支払うようにするとか、中小のリアル店舗の販売促進につながるパンフレットをあえて作成するとか…。言葉は悪いが、中小を利用する施策があってもいい。
中小旅行会社の先行きも見通せないが、地元密着の旅行会社の地域での信用を侮ってはいけない。行政も県内旅行会社組織が前向きに行動しようとしている点を評価するようになってきている。リアルな人と人とのつながりで成り立っている面が否めない我々の業界で、そこに強みを発揮するのが中小なのだから。
(トラベルニュースat 21年10月10日号)
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