ないものはないの意味
ないものはない―。ある離島の町が地域を活性化するキャッチフレーズに使っているのでご存じの方も多いと思う。先日会った別の町の首長が「この言葉をどう捉えるかどうかで、これからの地域のあり方は大きく変わってきます」と言っておられたことが印象的で、「ないものはない」の意味を改めて考えてみた。
この言葉には「ないのだから仕方がない」と「すべてがある」の2つの意味がある。前者は「絶対にできないというように、できないことを強く否定する表現で、他にする方法がない、どうしようもないという気持ちを含む」のだが、後者は「ない、ものはないので、ここにはなんでもある」とまったく違う意味になってくる。要は物事を後ろ向き、前向きのどちらで捉えるかで「ないものはない」は大きく変わってくるということだ。前述の首長の発言はどちらを選ぶかによって、地域のあり方が変わるということだろう。
「ないものはない」を前向きに捉えるためには、ものがそろっていることではなく、知恵次第で何とでもなるというモチベーションを持てるかどうかにかかってくる。そのモチベーションを高めるには、事の大小を問わずつねに挑戦することだ。一つの成功事例ではなく、数多くの挑戦事例を持っている地域が人をひきつける光を放っている―。
(トラベルニュースat 23年10月10日号)
- 百年先を見る道後温泉(24/07/26)
- 宿泊税は地域のために(24/07/11)
- 危険な大手の仕事ぶり(24/06/25)
- 総会にチーム力を見る(24/06/12)
- 観光ゴーストタウン(24/05/27)
- 「深化」する東尋坊(24/05/13)
- 発地と着地の新たな連携(24/04/26)