新参入ホテルと和食 人手不足と人の育て方
昨今、投資会社や国内外の投資家がホテル業界に投資し、営業に介入してくることが当たり前になりました。オリンピックや万博など海外を相手にするイベントがあれば、海外客を見据えたホテルが増えることも当然かと思います。
これまでホテル業界に参入していなかった投資会社が作り上げるホテルがどのようなものなのかは、もちろん興味があり、いろいろと見せていただく機会も多いのですが、様々な刺激を受けます。今まであまり見なかった設備や建て方を見ることもあります。新しい発見があり素晴らしいと思うのですが、一方、人手不足による「人の育て方」には難点が増えていると感じます。
日本人は細かく丁寧と言われることが多いですが、それを基準としてみると、どうしても海外の従業員が多い場合にそこまでの目線が持てないと感じるところが見てとれるのです。「綺麗にする」という一言でも、人によってはその度合いが違うと思いますが「ここまで綺麗にする」ということをしっかりと見せて理解させなければいけません。また、これを続けることが重要なのだということも理解させるのはとても根気のいることです。海外の方がすべてそうだというわけではありませんが、言葉や習慣が違えば同じように教えてもうまく伝わらないこともあります。
厨房でも同じことがあります。「最後まで使う」と言っても、容器の縁までしっかりと使い切る人もいれば、もったいない使い方をしてしまう人もいるでしょう。ひどいところでは、賞味期限を見ることもなく、気づけば期限が切れていても使ってしまっているところもあるようです。最低限の人員で働いているため、それを日々気をつけて管理する者もいないようでした。料理人も人手不足なのです。
食の現場で、責任感のない仕事をしてしまっていては命にかかわることもあるはずですが、それを理解して働いている人はどれだけいるのだろうかと不安になります。
厨房内での教育も大変なのでしょうが、より一層細かい目線が必要なのです…
(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)
(トラベルニュースat 2025年9月10日号)
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