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真の観光立国とは

2025年上半期、訪日外国人旅行者数は2151万人超と過去最速のペースで伸び、旅行消費額も過去最高を更新しました。コロナ禍後、インバウンド市場は順調に成長軌道に乗っています。

しかし一方で、国内の状況は対照的です。2024年に「一度も国内旅行をしていない」日本人が過半数(50・5%)に達しました。これは一時的な節約志向ではなく、旅行が「特別な体験」になりつつある構造的な変化と言えます。

その原因は単に物価高騰や円安だけではありません。根本には「可処分所得の減少」と「可処分時間の欠如」があります。観光庁の調査においても「あなたの旅行に対する考え方に最も近いもの」の質問に対して、すべての年代で「旅行は時間とお金に余裕がある時にするもの」との回答が最も多く、旅行は「最も大切な趣味」との回答は全体の約3割を占めています。

実際、物価の変動分を反映した実質賃金は物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、日本の有給取得率は6割程度です。所得が増える見込みも少なく、連続休暇が取りにくい社会構造の中では旅に出たくても出られないのが現実問題なのです。

今の日本に必要なのは「旅に出られない現実」に対する政策的な実行力ではないでしょうか。長期有給休暇を義務付ける国際条約ILO132号への批准とともに働き方改革だけでなく、休み方改革を推進する必要があります。日本が本気で観光関連産業を成長産業とするのであれば、インバウンド市場に向けたプロモーション以上に、国内の移動と滞在の余地を社会全体で確保することが不可欠だと言わざるを得ません。

また、観光地やリゾート地のDMOや旅行会社の存在と役割は…

(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)

(トラベルニュースat 2025年7月25日号)

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