老舗料亭をリノベーション おのみち帆聲
最近は古民家を改装して宿にするケースが増えた。旅館業法が改正され、さらに古民家を宿にしやすくなったことも一要因といえる。
かねてから観光という切り口で地域に残る古民家を再生し地域活性化を図っているのが、広島県福山市の鞆スコレ・コーポレーションだ。観光名所の鞆の浦で「景勝館漣亭」「ホテル鴎風亭」「汀邸遠音近音」「潮待ちホテル櫓屋」を展開。旅館や古民家再生した宿など、地域の資源を活かした宿づくりを展開している。
同社が昨年12月、尾道市に出店したのが「おのみち帆聲」である。創業約250年という老舗料亭「藤半」を改装し、客室11室とダイニングを備えた小宿だ。
「藤半」は、明治時代には伊藤博文も宿泊したといわれている老舗。その伝統と歴史を今に伝える木造2階建ての建物は夜ともなればライトアップされ、往時の料亭の華やかさを垣間見るような気がする。
館内は全館畳敷きとしスリッパは不要。畳自体が珍しい昨今、畳とはこのように気持ちがいいものかと改めて実感する。
客室は2階に7室、1階に4室を配備。1階は「ガーデンツインルーム」で、その名の通り庭を設え、開放部を大きく開けて、絵画のごとくとりこんだ。広さは約23平方メートル。全室ベッドはシモンズ社製という寝心地を重視した。バスルームは洗い場付きで高機能バスを導入した。3室備える「和モダンルーム」は檜風呂に洗い場付きというぜいたくさ。檜風呂はもっとも広い約33平方メートルの「プレミアルーム」を含めて計4室となる。
食事は1階の「ラウンジ&レストラン濤」で提供する。計20席。夕食と朝食ともに2部制で、ランチ営業も実施し、こちらは予約制で受けている(いずれもコロナ禍での対応ゆえ、今後変更の可能性もある)…
(井村日登美=ホテルジャーナリスト)
(トラベルニュースat 2021年11月25日号)
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