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Go Toトラベル ダッチロール状態を考える

新型コロナウイルス感染症の影響で大打撃を受けた旅行・観光関連事業者の救済とともに経済の回復を狙った「Go Toトラベル」が迷走しています。政府による感染の抑制と経済活動の促進は、自動車のブレーキとアクセル操作のバランスに例えられることが多いのですが、実施決定後に東京都発着の旅行や若者と高齢者の団体旅行、大人数の宴会を伴う旅行を除外するなどの唐突な運用の変更は、航空機ならば危険なダッチロール状態と言えます。

そもそも「Go Toキャンペーン」とは「新しい生活様式」のあり方を示す取り組みであり、「ウィズコロナ」が前提であるはずです。今後、陽性確定感染者数の増減が繰り返される中、基本的な運用内容がその都度変更されることは施策を実施する上で不都合な条件が増えるだけです。しかも国費を投入する制度の運用において特定の地域や年齢層などを除外することはあってはならないことです。現実問題として、陽性確定感染者数の増加で「Go Toトラベル」の運用を変更するほどの事態になっているのならば、本来は政府が再び「緊急事態宣言」を発令するべきです。

それにしても、旅行業界の落ち込みは酷く、先週末に観光庁が発表した5月分の主要旅行業者の旅行取扱状況速報によると、前年同月比で海外旅行―99・0%、外国人旅行―99・9%、国内旅行―96・6%と激減し、過去最大だった4月の減少率︱95・5%よりもさらに悪化しました…

(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)

(トラベルニュースat 2020年7月25日号)

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