シドニー発着タスマニア島クルーズ
オーストラリアは、国の人口に対するクルーズ人口が5%余りと、世界で最もクルーズが広く普及した国です。
多くの国民がイギリス等から客船に乗ってやってきた移民の国なので、ことさら客船の旅にはノスタルジアと同時に憧れもあるのでしょう。多くの国は、国内の貨物輸送だけでなく旅客輸送も自国籍船に限るというカボタージュ規制をしいていますが、オーストラリアはクルーズ客船にこの規制を課していません。その結果、シドニーをはじめとする各港から非豪州籍船による短い日程の国内クルーズが頻繁に行われています。
日本で発行されている邦人向けの旅行ガイドブックにも国内クルーズの紹介がされているほどです。これまで、筆者はシドニー発着のニュージーランド・クルーズには乗船したことがありましたが、国内クルーズは経験がないので乗船の機会をうかがっていました。
今年の夏ころ、アメリカのクルーズ会社から、11月のシドニー発着のショートクルーズをお買い得価格で紹介するメールが届きさっそく予約をしました。5泊6日で、1泊あたりのクルーズ料金は約3万円。しかもベランダ付きの部屋です。コースはオーストラリア本土の南部のエデンと、さらに南の海上に浮かぶタスマニア島に寄港するクルーズでした。船は13万総トンの「セレブリティ・エッジ」でプレミアムクラスの新鋭高級船です。
羽田を深夜に飛び立った飛行機は朝にはシドニー空港に着き、サーキュラーキーに隣接した客船ターミナルには同船が停泊していました。最近のクルーズ客船ではスマホの専用アプリが便利で、乗船券も入っていて、それとパスポートをターミナルの受付でスキャンしてもらうとすぐに乗船ができました。
出港は夕方ですが、乗客は昼過ぎから続々と乗船して、船内のレストランですでに飲食を楽しんでいます。食事は基本的に無料なので、ビールやワインを飲みながらよく食べています。夫婦連れがほとんどですが、気の合う仲間とグループで乗船している人も多いようでした…
(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)
(トラベルニュースat 2025年12月10日号)
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