旅する講談コラム
講釈師が語る一休さんの十五 和尚追い湖に吸い寄せられ…
謙翁は病の為に寝込むが、献身的に看病する周建を枕元に呼んで 「ワシの寿命も尽きかけておる。そこでお主に名を授ける。ワシの宗為(そうい)という名の一字を与え、宗純(そうじゅん)。純は何にも縛られず混じり気の無い禅の心。お主には禅の心は教...
講釈師が語る一休さんの十四 謙翁和尚「我の利」を説く
周建は謙翁和尚の弟子になろうと西今寺を探しますが、さっぱり分かりませんので、往来の者に 「ここら辺りで西今寺というお寺をご存知ないですか?」「西今寺?聞いた事がないなぁ」「謙翁和尚という御住持様です」「さぁ。せや。ここ真っ直ぐ行った所...
講釈師が語る一休さん十三 西今寺の謙翁和尚と出会う
将軍家の茶碗騒動以降、周建が塞ぎ込む様になり、「平生から偉そうな事を言う師匠や、将軍は斯様な小手先の事で得心するのか? それ以上に、小手先で何とか誤魔化そうと甘んじている己が一番に許せない、今のままでは悟れない。更に厳しい修業をしなければな...
講釈師が語る一休さん十二 世に二つとない茶碗か、命か
安国寺へ預けられた将軍家秘蔵の茶道具、世に二つとない石清水の茶碗を、寺の小坊主が誤って真っ二つに割ってしまう。皆が真っ青になっている所へ、周建が 「ではこれは私が割ったことにしましょう」「周建さんに罪を着せることはできません」「ならば...
講釈師が語る一休さん十一 天下一品の茶碗を叩きつけ
「像外よ、お主茶道は?」「たしなむ程度でございます」「ならば近々、安国寺へ参り、茶の馳走になりたい。それまでに将軍家の茶道を預ける。其の中には世に二つとない天下一品の茶碗。銘は岩清水。これなる器で茶を振舞うてくれ」「畏れ多いことでございます...
講釈師が語る一休さん十 喉元の「関所」でお預かり
三代将軍足利義満公に招かれた周建は昼食に出された戒律を破る食材が並んだお膳を全て平らげてしまう。 「周建。如何であったな?」「あぁ殿様、大変に美味しゅう御座います」「さりながら魚肉を食したな。汝の師である像外すら手を付けようとせなんだ...
講釈師が語る一休さんの九 将軍の面前で戒律を破る
三代将軍足利義満公が昼食の支度を家来にさせます。御膳が像外和尚と弟子の周建前にズラーっと並べられるから将軍は 「さぁ、両名とも遠慮なく過ごせ」「ありがとうございます。うわぁ…えらい昼食じゃ。戒律を破る食べ物ばかり、口にするわけにはいか...
講釈師が語る一休さんの八 将軍から屏風の虎退治を
自然と周建の才知の噂が立ちましかたら、遂には三代将軍、義満公の耳にまで入りましたので「うん、面白そうなやつじゃ、呼んで参れ」今度は義満の居る、鹿苑寺即ち金閣寺にへ、将軍の前に召し出された、像外和尚はもう、そわそわしております、下手なことをす...
講釈師が語る一休さんの七 橋の箸を渡らず真ん中を歩く
桔梗屋が「うん、あの周建という小坊主は、只者ではない、よし何とかしてぎゃふんと言わしてやろう」。 数日後、桔梗屋が法事にかこつけて、安国寺の像外和尚に「周建をお供に願います」こう伝えたから、像外和尚も周建を連れていく。桔梗屋の屋敷の前...
講釈師が語る一休さんの六 桔梗屋を棒切れでポカポカ
像外和尚の知り合いで、桔梗屋という問屋の旦那が頻繁に和尚と碁を打つ為に暇があってはお寺に来ておりましたから、小坊主たちは「あの桔梗屋の旦那はよく遊びに来て困る」「そうだ!あの人は一度碁を打ち始めると刻を忘れるからな」「おまけにその時は私達も...