旅する講談コラム

講釈師が語る一休さん十一 天下一品の茶碗を叩きつけ
「像外よ、お主茶道は?」「たしなむ程度でございます」「ならば近々、安国寺へ参り、茶の馳走になりたい。それまでに将軍家の茶道を預ける。其の中には世に二つとない天下一品の茶碗。銘は岩清水。これなる器で茶を振舞うてくれ」「畏れ多いことでございます...

講釈師が語る一休さん十 喉元の「関所」でお預かり
三代将軍足利義満公に招かれた周建は昼食に出された戒律を破る食材が並んだお膳を全て平らげてしまう。 「周建。如何であったな?」「あぁ殿様、大変に美味しゅう御座います」「さりながら魚肉を食したな。汝の師である像外すら手を付けようとせなんだ...

講釈師が語る一休さんの九 将軍の面前で戒律を破る
三代将軍足利義満公が昼食の支度を家来にさせます。御膳が像外和尚と弟子の周建前にズラーっと並べられるから将軍は 「さぁ、両名とも遠慮なく過ごせ」「ありがとうございます。うわぁ…えらい昼食じゃ。戒律を破る食べ物ばかり、口にするわけにはいか...

講釈師が語る一休さんの八 将軍から屏風の虎退治を
自然と周建の才知の噂が立ちましかたら、遂には三代将軍、義満公の耳にまで入りましたので「うん、面白そうなやつじゃ、呼んで参れ」今度は義満の居る、鹿苑寺即ち金閣寺にへ、将軍の前に召し出された、像外和尚はもう、そわそわしております、下手なことをす...

講釈師が語る一休さんの七 橋の箸を渡らず真ん中を歩く
桔梗屋が「うん、あの周建という小坊主は、只者ではない、よし何とかしてぎゃふんと言わしてやろう」。 数日後、桔梗屋が法事にかこつけて、安国寺の像外和尚に「周建をお供に願います」こう伝えたから、像外和尚も周建を連れていく。桔梗屋の屋敷の前...

講釈師が語る一休さんの六 桔梗屋を棒切れでポカポカ
像外和尚の知り合いで、桔梗屋という問屋の旦那が頻繁に和尚と碁を打つ為に暇があってはお寺に来ておりましたから、小坊主たちは「あの桔梗屋の旦那はよく遊びに来て困る」「そうだ!あの人は一度碁を打ち始めると刻を忘れるからな」「おまけにその時は私達も...

講釈師が語る一休さんの五 周建、仏に背を向けて座禅
ある晩の事、周建は像外和尚から、仏前のお灯明を消すように言われました。そこで周建、ぴょんと飛び上がって、口でぷうと吹き消して戻って参りました。 「確かに消してまいりました」「それはご苦労であった。周建どのように消してきたのじゃ」「はい...

講釈師が語る一休さんの四 てい髪し「周建」と名乗る
その安国寺の像外和尚は顎に白いやぎのような髭を生やし「千菊丸と申すのか?」「はい、和尚様」「其方の母君からくれぐれも頼むと言われておるからな、まずは頭を剃ろうかの」シャリシャリと髪を落とします「どうじゃ、髪がなくなった気持ちは」「はい、おつ...

講釈師が語る一休さんの三 母上様に連れられ安国寺へ
千菊丸(のちの一休禅師)が「では、聞かせてやるが、怒るなよ?」「若様の歌を聞いて怒る事がありましょうか?」「本当だな?」「はい」「ならば聞かせてやる、『降る雪が 白粉なれば 手にためて おくろの顔に 塗りたくぞ思う』どうだ!」「まぁ千菊丸様...

講釈師、名僧の幼少期も語る 「降る雪が…」千菊丸うたう
名僧一休禅師の父親は北朝方の後小松天皇。また、母は南朝方の楠正成の血を引く照子、つまり伊予の局。帝から寵愛を受け、いつしか伊予局が身ごもってしまうが妬む者も現れた。 「御存知で?」「一体何を?」「あの伊予の局は、南朝方でありますから、...